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古い小説から最近のまでおいてあります。
古いのはなんだか恥ずかしいのでいつ消すかわかりません。

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駄目忍足パラレル
俺は家族も世間体も捨てた。
ただ彼のモノとして生きることを選んだ。
車を運転する彼の手、ハンドルを握る彼の指、その左手の薬指はまだ空いているわけだが、きっと何時か、プラチナか何かの小さな輪が填るのだ。
それも構わないと思っている。
俺はモノだから、いらなくなったら捨てたらいい。
それで充分だ。
だって、俺が告げた人生を手放したような俺の生き方を、誰より美しい彼が、何より美しいと評価してくれたから。
【君のモノ】
跡部の暮らすマンションに入り浸って、なかば引きこもりのようになっていた忍足をなんとか卒業式に引きずり出し、そしてそれを終えた今、打ち上げの誘いを一蹴した跡部は、車を飛ばしていた。
車がどこへ向かっているか、忍足は知らなかった。
高校を卒業し、そのまま氷帝の大学へ進学することを告げた時点で、両親との間に見えない亀裂が生まれた。
そして大学を卒業する頃に、「俺は跡部になります」そんな文句で、忍足は「忍足」と縁を切った。
今、忍足は「忍足」ではない。
しかし、「跡部」にもなれない。
でも、跡部のモノだった。
「ここ…何?」
「四月から俺の会社になるトコ」
車は、都心のオフィス街に入って少しした所で止まった。
それなりの高さの、綺麗なビルの前だった。
忍足の短い問いに跡部も簡単な返事のみを口にして、車から降りる。
頼りなく歩く忍足の手首を掴むと、引きずるようにしてビルへ向かった。
「四月から跡部は社長さんになるんや…立派やね」
嬉しそうに笑ってみせる忍足の顔が、ガラス張りのエレベーター内でいくつにも映って増えた。
あぁ、と、無表情で、また短く返事をした跡部は、しかしきつく手首を握ったままだった。
「ここが社長室」
お決まりの如く最上階にあるその部屋は、お決まりの如く無駄に広かった。
キョロキョロと部屋を見回す忍足の仕草は、昔より幾らも歳を重ねたくせに、昔より随分ガキ臭い。
跡部のモノになることを決めた日から、忍足は自分を守るのも、作るのもやめてしまった。
氷のような微笑みも浮かべない、冷静な意見も口にしない。
我慢を忘れた。
甘えたくなれば甘えるし、シたくなればスる。
学校へは行きたくないから、と、毎日跡部の帰りを待って、部屋にこもっていた。
人生を手放して、跡部のモノになることを決めた。
それは跡部が忍足に最も望んでいたことであり、しかし世間から見れば破滅的な関係だった。
忍足は、壊れるまで跡部を愛した。
壊れて漸く、自由になった。
皮肉。
「四月からはお前も毎日ここへ来るンだぜ、忍足」
「俺…秘書になんか、なられへんよ?仕事の手伝いもしてやれんし…」
大きなソファの上に膝を抱えて座り込む忍足が問い掛ければ、跡部は目を細めた。
そして、窓から地上を見下ろすのをやめて、忍足のすぐ隣に腰掛ける。
顎に指をかけて顔を向き合わせて、笑う。
「俺は、モノに仕事させる気も時間管理やらさせる気も無い」
美しい笑顔が近付いたと思った時には、唇が重なっていた。
引き篭るようになって以来弱りきった忍足の筋肉は役に立たない。
跡部の胸元を押し返したつもりの忍足の腕は、すがるような手付きにしか見えなかった。
「ンん…ッ、あ、あとべ…、い、嫌やって、こないな、とこで…」
「モノが口応えするな…」
それは酷く冷たく、非人間的な台詞だが、しかし忍足は嬉しそうに微笑んだ。
モノでいい。モノでいいの。
「ぁ、あッ…」
卒業式だから、と、無理矢理のように着せたスーツを、今度は無理矢理に剥ぐ。
肌けた胸元に早々と唇を寄せた跡部に、忍足は甘く鳴いた。
簡単に膨れあがった乳首が、唾液にいやらしく濡れた。
「はァ…ぁ、ンぁっ、ゃ…」
「よく鳴くな、相変わらず…」
満足気に言った跡部が、唇を舐める。
忍足とは全く反対に一切乱れていなかったスーツのネクタイを解き、上着とシャツを脱ぎ捨てる。
その姿を、忍足は恍惚として眺めた。
「ほら…、どうだ、いい眺めだろ…?」
「アッ、ぁっ、やァあッ…!あ、け、ご…、けぇ、ご…ッ」
壁一面のガラスに手をついて、立ったまま体を繋げる。
遥か眼下には整備された道路、真っ直ぐ前には向かいのビル、間近には自身の顔。
気が狂うような羞恥に、忍足は高く鳴いた。
「ゃ、やだ…やらァッ…!ぁっ、あぁン!」
「向かいのビルから…見られてるかもなァ、侑士…」
壊れるほど突き上げられて、その荒々しい扱いに、けれど安心して。
俺はモノだから、跡部の、彼のモノだから、壊してくれても構わない。
「お前は俺のモノだ…、宝、モノ…だッ…」
嗚呼、あァ、そんなこと言われたら、壊れたくないとか、捨てられたくないとか、思ってしまうよ。
やめてくれ、俺はただ、君のモノでありたい。
それだけ。
俺は家族も世間体も捨てた。
ただ彼のモノとして生きることを選んだ。
車を運転する彼の手、ハンドルを握る彼の指、その左手の薬指はまだ空いているわけだが、きっと何時か、プラチナか何かの小さな輪が填るのだ。
それも構わないと思っている。
俺はモノだから、いらなくなったら捨てたらいい。
それで充分だ。
だって、俺が告げた人生を手放したような俺の生き方を、誰より美しい彼が、何より美しいと評価してくれたから。
【君のモノ】
跡部の暮らすマンションに入り浸って、なかば引きこもりのようになっていた忍足をなんとか卒業式に引きずり出し、そしてそれを終えた今、打ち上げの誘いを一蹴した跡部は、車を飛ばしていた。
車がどこへ向かっているか、忍足は知らなかった。
高校を卒業し、そのまま氷帝の大学へ進学することを告げた時点で、両親との間に見えない亀裂が生まれた。
そして大学を卒業する頃に、「俺は跡部になります」そんな文句で、忍足は「忍足」と縁を切った。
今、忍足は「忍足」ではない。
しかし、「跡部」にもなれない。
でも、跡部のモノだった。
「ここ…何?」
「四月から俺の会社になるトコ」
車は、都心のオフィス街に入って少しした所で止まった。
それなりの高さの、綺麗なビルの前だった。
忍足の短い問いに跡部も簡単な返事のみを口にして、車から降りる。
頼りなく歩く忍足の手首を掴むと、引きずるようにしてビルへ向かった。
「四月から跡部は社長さんになるんや…立派やね」
嬉しそうに笑ってみせる忍足の顔が、ガラス張りのエレベーター内でいくつにも映って増えた。
あぁ、と、無表情で、また短く返事をした跡部は、しかしきつく手首を握ったままだった。
「ここが社長室」
お決まりの如く最上階にあるその部屋は、お決まりの如く無駄に広かった。
キョロキョロと部屋を見回す忍足の仕草は、昔より幾らも歳を重ねたくせに、昔より随分ガキ臭い。
跡部のモノになることを決めた日から、忍足は自分を守るのも、作るのもやめてしまった。
氷のような微笑みも浮かべない、冷静な意見も口にしない。
我慢を忘れた。
甘えたくなれば甘えるし、シたくなればスる。
学校へは行きたくないから、と、毎日跡部の帰りを待って、部屋にこもっていた。
人生を手放して、跡部のモノになることを決めた。
それは跡部が忍足に最も望んでいたことであり、しかし世間から見れば破滅的な関係だった。
忍足は、壊れるまで跡部を愛した。
壊れて漸く、自由になった。
皮肉。
「四月からはお前も毎日ここへ来るンだぜ、忍足」
「俺…秘書になんか、なられへんよ?仕事の手伝いもしてやれんし…」
大きなソファの上に膝を抱えて座り込む忍足が問い掛ければ、跡部は目を細めた。
そして、窓から地上を見下ろすのをやめて、忍足のすぐ隣に腰掛ける。
顎に指をかけて顔を向き合わせて、笑う。
「俺は、モノに仕事させる気も時間管理やらさせる気も無い」
美しい笑顔が近付いたと思った時には、唇が重なっていた。
引き篭るようになって以来弱りきった忍足の筋肉は役に立たない。
跡部の胸元を押し返したつもりの忍足の腕は、すがるような手付きにしか見えなかった。
「ンん…ッ、あ、あとべ…、い、嫌やって、こないな、とこで…」
「モノが口応えするな…」
それは酷く冷たく、非人間的な台詞だが、しかし忍足は嬉しそうに微笑んだ。
モノでいい。モノでいいの。
「ぁ、あッ…」
卒業式だから、と、無理矢理のように着せたスーツを、今度は無理矢理に剥ぐ。
肌けた胸元に早々と唇を寄せた跡部に、忍足は甘く鳴いた。
簡単に膨れあがった乳首が、唾液にいやらしく濡れた。
「はァ…ぁ、ンぁっ、ゃ…」
「よく鳴くな、相変わらず…」
満足気に言った跡部が、唇を舐める。
忍足とは全く反対に一切乱れていなかったスーツのネクタイを解き、上着とシャツを脱ぎ捨てる。
その姿を、忍足は恍惚として眺めた。
「ほら…、どうだ、いい眺めだろ…?」
「アッ、ぁっ、やァあッ…!あ、け、ご…、けぇ、ご…ッ」
壁一面のガラスに手をついて、立ったまま体を繋げる。
遥か眼下には整備された道路、真っ直ぐ前には向かいのビル、間近には自身の顔。
気が狂うような羞恥に、忍足は高く鳴いた。
「ゃ、やだ…やらァッ…!ぁっ、あぁン!」
「向かいのビルから…見られてるかもなァ、侑士…」
壊れるほど突き上げられて、その荒々しい扱いに、けれど安心して。
俺はモノだから、跡部の、彼のモノだから、壊してくれても構わない。
「お前は俺のモノだ…、宝、モノ…だッ…」
嗚呼、あァ、そんなこと言われたら、壊れたくないとか、捨てられたくないとか、思ってしまうよ。
やめてくれ、俺はただ、君のモノでありたい。
それだけ。
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プロフィール
HN:
詩子
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/08/13
職業:
学生
趣味:
買い物・音楽鑑賞
自己紹介:
小説や日記、小ネタ等を投下していくヲタクなブログです。サイトの代わりに運営しているのでコメントやメッセージは大歓迎です。
リンクについては同人サイト様につきフリー。報告や連絡いただければそちらにも遊びにいきます♪
コメントするのが嫌だわ、というシャイなお嬢さんは(笑)
utagawa_hikaru☆hotmail.com
(☆を@に変えてくださいね)
こちらまでご連絡ください!
ジャンルはサイトをやっていた頃とほとんど変わりませんが…
テニス(忍受け、跡受けなど)
サガフロ(いろいろ)
もしかしたらアイシ(阿雲)
オリジ(気が向けば)
…こんな感じです。
同志様は是非仲良くしてください!
何かありましたらお気軽にご連絡を。
リンクについては同人サイト様につきフリー。報告や連絡いただければそちらにも遊びにいきます♪
コメントするのが嫌だわ、というシャイなお嬢さんは(笑)
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(☆を@に変えてくださいね)
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ジャンルはサイトをやっていた頃とほとんど変わりませんが…
テニス(忍受け、跡受けなど)
サガフロ(いろいろ)
もしかしたらアイシ(阿雲)
オリジ(気が向けば)
…こんな感じです。
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