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古い小説から最近のまでおいてあります。
古いのはなんだか恥ずかしいのでいつ消すかわかりません。

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夢を持てと励まされて。
夢を見るなと罵られる。
さて、俺は何処を目指すべきなのか。
自分の足元さえ見えていない俺に、夢なんか見れるはずがないじゃないか。
言った俺に、父さんがどんな顔をしたか、俺はそれだって、知らないのだ。
【光になれ】
坊っちゃんの世話を一切俺に任せてくれませんか?
クビにされるかもしれなかった。
忍足の賭けに近い提言に、景吾の父はひどく顔を顰めて、しかし小さく頷いた。
景吾の足には、跡の消えないひどい火傷がある。
目が見えなくなってすぐの頃、熱い風呂に無防備に足を突っ込んだらしい。
風呂を沸かしたのは、誰なのか、どの召使だったかなんて、景吾にはわからなかった。
その話を聞いてから、忍足は何かと景吾を気に掛けるようになった。
そして今日、提言が認められ、晴れて傍に付けるようになったのだ。
『ちゅうわけで、今日から俺、景吾だけの召使や』
昼を過ぎてもベッドに入ったままの景吾に、忍足はしかしとても嬉しそうに話し掛ける。
聞いているのかいないのかは、いまいちわからなかった。
『景吾、聞いとる?』
やや不満げな表情で問い掛けてみるが、やはり反応が無い。
心配になった忍足がベッドを覗き込めば、そこには景吾ではなく枕と景吾の飼い猫だけ。
布団の膨らみに、すっかり景吾がいると思い込んでいた忍足は驚愕だ。
毎朝顔を出していたのに、今日は旦那様と話していたから部屋に来ることができなかった。
景吾は自分を捜して、また屋敷をふらついているに違いない。
『何処行った、景吾…!』
屋敷内をひたすら駆けずり回る。
擦れ違う皆が振り返るのは、きっと自分が凄い顔をしているからだろう。
景吾はそんな視線すら感じることができない。
忍足は、走りながら胸が痛むのを感じた。
『夢を見るな景吾。今更何をしたところで遅い』
『夢を見てるわけじゃねェ。俺は俺の足元だって見えてない。夢だって見れるわけが…‥、ッ!』
親子の会話が聞こえる。ここは旦那様の部屋だ。
忍足は、辺りを見回してから聞き耳を立てた。
景吾の声が途切れると同時に、大きな音。嫌な汗が額を伝った。
『旦那、さま…‥』
『あれの世話はお前に任せたはずだが?しっかり頼むよ…仕事の邪魔だ』
持ち主の出ていった部屋に慌てて駆け込めば、大きな本棚を背に座り込む景吾がいた。
殴られて、倒れて、本棚に思い切り身体を打ったらしい。分厚い本がいくつも落ちている。
口の端から血を垂らしながら、景吾は、本のページを指でなぞっていた。
『景吾…‥』
『忍足、か。…点字の勉強がしたいって言ったら、夢見るなってよ。夢なんか見ちゃいねぇのに、目が見えるようになるなんて夢、見てるわけじゃないのに…』
だいたいこの辺りだろう。
名前を呼ぶ声のした方へ、景吾は感覚で顔を向ける。
綺麗な顔には傷ができていた。
諦め。
その言葉が最もよく似合うであろう、景吾の力無い表情に、忍足は決意するのだ。
愛を教えてあげよう、俺が。
彼は愛されなければいけない。
景吾の正面にしゃがみこんで、腕を伸ばした。
強く強く抱き締めて、自分より景吾の方が辛いというのに、涙が流れた。
君にはこの、頬を伝う小さな光さえ見えない。
俺が、大きな光になればいい。
その時光を~へ続きます
夢を見るなと罵られる。
さて、俺は何処を目指すべきなのか。
自分の足元さえ見えていない俺に、夢なんか見れるはずがないじゃないか。
言った俺に、父さんがどんな顔をしたか、俺はそれだって、知らないのだ。
【光になれ】
坊っちゃんの世話を一切俺に任せてくれませんか?
クビにされるかもしれなかった。
忍足の賭けに近い提言に、景吾の父はひどく顔を顰めて、しかし小さく頷いた。
景吾の足には、跡の消えないひどい火傷がある。
目が見えなくなってすぐの頃、熱い風呂に無防備に足を突っ込んだらしい。
風呂を沸かしたのは、誰なのか、どの召使だったかなんて、景吾にはわからなかった。
その話を聞いてから、忍足は何かと景吾を気に掛けるようになった。
そして今日、提言が認められ、晴れて傍に付けるようになったのだ。
『ちゅうわけで、今日から俺、景吾だけの召使や』
昼を過ぎてもベッドに入ったままの景吾に、忍足はしかしとても嬉しそうに話し掛ける。
聞いているのかいないのかは、いまいちわからなかった。
『景吾、聞いとる?』
やや不満げな表情で問い掛けてみるが、やはり反応が無い。
心配になった忍足がベッドを覗き込めば、そこには景吾ではなく枕と景吾の飼い猫だけ。
布団の膨らみに、すっかり景吾がいると思い込んでいた忍足は驚愕だ。
毎朝顔を出していたのに、今日は旦那様と話していたから部屋に来ることができなかった。
景吾は自分を捜して、また屋敷をふらついているに違いない。
『何処行った、景吾…!』
屋敷内をひたすら駆けずり回る。
擦れ違う皆が振り返るのは、きっと自分が凄い顔をしているからだろう。
景吾はそんな視線すら感じることができない。
忍足は、走りながら胸が痛むのを感じた。
『夢を見るな景吾。今更何をしたところで遅い』
『夢を見てるわけじゃねェ。俺は俺の足元だって見えてない。夢だって見れるわけが…‥、ッ!』
親子の会話が聞こえる。ここは旦那様の部屋だ。
忍足は、辺りを見回してから聞き耳を立てた。
景吾の声が途切れると同時に、大きな音。嫌な汗が額を伝った。
『旦那、さま…‥』
『あれの世話はお前に任せたはずだが?しっかり頼むよ…仕事の邪魔だ』
持ち主の出ていった部屋に慌てて駆け込めば、大きな本棚を背に座り込む景吾がいた。
殴られて、倒れて、本棚に思い切り身体を打ったらしい。分厚い本がいくつも落ちている。
口の端から血を垂らしながら、景吾は、本のページを指でなぞっていた。
『景吾…‥』
『忍足、か。…点字の勉強がしたいって言ったら、夢見るなってよ。夢なんか見ちゃいねぇのに、目が見えるようになるなんて夢、見てるわけじゃないのに…』
だいたいこの辺りだろう。
名前を呼ぶ声のした方へ、景吾は感覚で顔を向ける。
綺麗な顔には傷ができていた。
諦め。
その言葉が最もよく似合うであろう、景吾の力無い表情に、忍足は決意するのだ。
愛を教えてあげよう、俺が。
彼は愛されなければいけない。
景吾の正面にしゃがみこんで、腕を伸ばした。
強く強く抱き締めて、自分より景吾の方が辛いというのに、涙が流れた。
君にはこの、頬を伝う小さな光さえ見えない。
俺が、大きな光になればいい。
その時光を~へ続きます
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プロフィール
HN:
詩子
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/08/13
職業:
学生
趣味:
買い物・音楽鑑賞
自己紹介:
小説や日記、小ネタ等を投下していくヲタクなブログです。サイトの代わりに運営しているのでコメントやメッセージは大歓迎です。
リンクについては同人サイト様につきフリー。報告や連絡いただければそちらにも遊びにいきます♪
コメントするのが嫌だわ、というシャイなお嬢さんは(笑)
utagawa_hikaru☆hotmail.com
(☆を@に変えてくださいね)
こちらまでご連絡ください!
ジャンルはサイトをやっていた頃とほとんど変わりませんが…
テニス(忍受け、跡受けなど)
サガフロ(いろいろ)
もしかしたらアイシ(阿雲)
オリジ(気が向けば)
…こんな感じです。
同志様は是非仲良くしてください!
何かありましたらお気軽にご連絡を。
リンクについては同人サイト様につきフリー。報告や連絡いただければそちらにも遊びにいきます♪
コメントするのが嫌だわ、というシャイなお嬢さんは(笑)
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(☆を@に変えてくださいね)
こちらまでご連絡ください!
ジャンルはサイトをやっていた頃とほとんど変わりませんが…
テニス(忍受け、跡受けなど)
サガフロ(いろいろ)
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