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初めての方はカテゴリから説明へどうぞ。 古い小説から最近のまでおいてあります。 古いのはなんだか恥ずかしいのでいつ消すかわかりません。



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どどどパラレル

生徒跡部と家庭教師で女の子忍足のえろすとーりー(笑







「先生何カップ?」

「……景吾君、今お勉強中…」

手元では英文を書き写しながら、器用にも景吾の目は侑士の胸に向いていた。
シャツのボタンが今にも弾け飛びそうだ、なんて思いながら、咎める言葉も気にせず景吾は胸ばかり見つめる。

「ええ加減にしてや景吾君」

視線に耐えられず、侑士はカーディガンを羽織ってしまった。
景吾の無駄に広い部屋はいつだって適温だ。
カーディガンを羽織れば少し暑いくらいだが、しかし露骨な視線には耐えかねる。
景吾は残念そうに息をつき、それから大胆な行動に出た。

「ねー、何カップ?でかいのはわかるンだけどさ、先生」

「ちょっ、や、やめてや!」

景吾がシャーペンの尻の部分で侑士の胸をつついたのだ。
侑士は途端に顔を赤くして、両腕で胸を隠す。
そして今度はむっとした表情を浮かべて、プリントの入ったファイルの硬い表紙で景吾の頭を叩いた。

「……、悪い子」

眉を寄せて、睨んでいるつもりなのだろう、怒っているつもりなのだろうその顔が、セックスの時の顔に似ているな、景吾は思った。

「先生が好きだから、先生のこと、なんだって知りたいんだよ、俺は」

膝に乗り上げて笑いながら言う景吾に、侑士はどきりとした。
中学生の子供らしい仕草、しかしその碧い目に灯るのは子供らしからぬ情欲の灯だ。
侑士は観念したように溜め息をつくと、顔を持ち上げて景吾の唇にキスをする。

「ほんなら、確かめてみる?」

「っ、先生…後悔するなよ…?」

今度は景吾がどきりとした。




「アッ、ぁ…おっぱい、ばっかり…」

「確かめる?なんて言ったのは先生だろ?」

ふかふかのベッドに仰向けに寝転がる景吾と、そこに覆いかぶさるように四つんばいになる裸の侑士。
景吾はひたすら侑士の胸をいじり倒す。

「こうやって見上げてみると圧巻だな…すげぇデカイ」

大きな乳房はしかし張りがあり、重力に従って垂れ下がることはない。
ただ木になる何か大きな果実のようで、景吾はそれをわしわしと揉んでみる。

「ひゃっ…?!あァンッ!」

度重なる愛撫に、身体を支える侑士の腕も震えきた頃、景吾が侑士の乳首をペロリと舐めた。
たまらず腕の力が抜けた侑士はそのまま景吾に倒れこみ、豊満な乳房が景吾の顔に押し付けられる形となった。
途端に景吾は激しい舌の動きで乳首をなぶりはじめたのだから侑士は甘く甘く鳴くしかない。

「自分から俺の顔におっぱい押し付けるなんて、先生かなりいやらしいぜ…?」

「やッ、ア、…ち、ちがう、のぉ…景吾、君っ…あぁンッ…」

言い訳するなとばかりに乳首に吸い付かれ、侑士はまた鳴く。
可愛いな、思わず口に出しそうになりながら、景吾が肩を押して侑士ごと起き上がった。

「先生…‥俺もすげぇ興奮してきた、気持ち良くしてくれよ…」

「もう…しゃあないなぁ…」

くすりと笑った侑士が、身体をずらして景吾の股間に顔を埋める。
ズボンから取り出したペニスは完全には勃起していないが、しかし確かな熱を持っていて。

「ァ…っ、せん、せ…」

柔らかい乳房にペニスを挟まれ、景吾が思わず声を漏らす。
侑士は密かにこの瞬間が好きだった。
なんとも色っぽい顔で、可愛らしい声を漏らす景吾が愛しくてたまらない。

「ンン…ッ、景吾君の、熱い…もうかちんかちんやね…」

「先生に、侑士に興奮してンだぜ…?早く中に入りてェ…」

じゅぷじゅぷと音を立ててフェラをする侑士の髪を撫でながら、景吾が擦れた声で言う。
その時の景吾の表情に、侑士は自身の股間がじわりと濡れるのを感じた。

「けいご、くん…‥」

「侑士、脚開け…」




ぱんっ、ぱんっ。
肌がぶつかり合う音、そして嬌声、吐息。
卑猥な音が部屋を満たす。

「あぁッ、あっ、ひぁンッ…!」

「バックで突かれンのが…一番、好き、だよな…?侑士はやらしい、から…」

背に胸板をぴったりと付け、伸ばした腕で乳房を揉みながら景吾が腰を揺らす。
後ろからぐちぐちと突かれれば、侑士は口を開きっぱなしにして、ひっきりなしに喘ぐ。

「け、けぇご…ッ、やっ、で、出てまう、よぉ…!」

景吾のペニスが一際強く侑士の奥を突くと、侑士のそこからは多量の愛液が吹き出した。
同時に激しい締め付けが景吾のペニスを刺激し、景吾が呻く。

「う…ッ、ア、クッ…!」

ずるりとペニスを引き抜くと、景吾は侑士の身体を仰向けに引っ繰り返す。
そして胸元に精液を吐き出した。

「はぁ…は…、で、結局胸のサイズはいくつなわけよ、先生」

「え…、な、そんなんもうええやんかぁ…景吾君の阿呆!」

余韻もムードも打ち壊した景吾の発言に、侑士が顔を真っ赤にして怒鳴り付けた。
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忍足がおにゃにょこ。
さらにどえろ。




「せ、せんせ…?」

「お前何度言ってもわかンねェのな、馬鹿だろ、マジで」

凡そ雇われた家庭教師の口にする言葉ではなかった。
跡部景吾の口にした言葉に、傷付いたような、困惑したような視線を忍足侑士は見せた。

「出来の悪い生徒にはお仕置きだ」

いつになく楽しそうに笑う、この跡部景吾という男は、高校生である忍足の家庭教師だ。
ルックス、知識ともに最上級、そして口の悪さも手癖の悪さも最上級。
なかなか賢くはない忍足に、なにかと手を出しては勉強を中断させる。
家庭教師がこれでは忍足の成績も伸びるはずがなかったが、外面の良さは忍足の両親の心をがっちりと掴んでいた。

そして、跡部景吾という人物そのものが、忍足の心を掴んでしまっているのだから仕方ない。

「先生、ま、まだ問題集終わってへんよ…」

控え目に言って勉強を再開しようとした忍足だったが、後ろからがっちりと抱き締められていてはそれどころではなかった。
絨毯の上に置かれたローテーブルの前にぺたんと座った忍足を後ろから抱き締め、既に項に鼻先を埋めている。

「も、せんせの馬鹿ぁ…・・っ、やッ…!」

擽ったそうに肩を竦めながら忍足が文句を口にすれば、跡部はそのまま白い項に噛み付いた。
思わず高く鳴いた忍足に追い討ちをかけるように、今度はいやらしく、手をシャツの中へと忍ばせる。

「こんな色気の無ェTシャツ着やがって、ブラ透けまくってンじゃねーか。シたかったンだろ?はじめから」

薄手の白いTシャツの生地に、そこに忍ばせた少し骨ばった手が浮かんだ。
跡部は意地悪く問いかけながら、汗で少しばかりしっとりとした肌を撫でる。
冷房の効いた部屋の中でも、跡部の触れたそこかしこが次々に熱を持っていく感覚に、忍足は息を乱し始める。

「ちゃ、ちゃうもん…、せんせこそ、す、すぐうちにえっちなことして…ァ、やぁンッ…!」

触れられるたびに喉をヒクつかせながら、忍足は未だ文句を口にする。
文句を言えば悪戯されるのをわかっているのかわかっていないのか、今度はブラの上から乳房を鷲掴みにされ甘く鳴く。
部屋に入ってすぐ目についた、白いTシャツに透けて見えていたピンク色のブラジャーは、跡部には誘いにしか見えなかった。

「シャツはあんな色気無ェのにブラジャーはこんなかよ…ホントやらしいよな、お前」

「べ、べつにそないなつもりあらへんもん…!今日はたまたまで…」

からかわれながらワシワシと乳房を揉まれ、忍足は顔を赤く染める。
わざと。わざと派手なブラジャーに透けやすいシャツを着たなんて、言えるはずもなく。

「ンんッ…、あっ、せ、せんせ……、恥ずかし、よぉ…」

シャツとブラとを一緒に捲り上げられ、大きな乳房がぷるんと顔を出した。
跡部の腕を掴みながら、いやいやと首を振る忍足。
そんな様子を可愛らしいと思うのだが、それをなかなか口にできないのが跡部の難点だった。

「相変わらずデカイ乳だな…、俺に揉まれて前よりデカくなったンじゃね?」

「ちょっ、やぁ…、ア、ん…や、やだ、せんせ…」

大きさを確かめるかのように、跡部は両方の乳房を上へ下へぷるんぷるんと揺らしてみる。
時折指先が意地悪く乳首を抓むものだから、ピンク色の乳首はすぐにコリコリと尖り始める。
それが酷く恥ずかしくて、忍足は泣き出しそうな顔で目の前の乳房を眺めるしかない。

「下ももう濡れてるだろ、お前すぐに濡れてくるもんなぁ…?」

言いながら、跡部の片手がスカートを捲る。
ぴ太股をなぞり、辿り着いた場所を指先でぐっと押してみる。
くちゅり、濡れた音と濡れた感触がパンティ越しにも伝わって、跡部は口角を吊り上げる。
片手は胸を弄んだまま、片手は股間を弄繰り回す。
忍足は、いよいよ何も考えられなくなってきた。

「ンぁっ、せん、せ…、あ、跡部、せんせぇ…ッ、う、うち、ヘンに、なるッ…、そこ、触ったらアカンよぉ…」

ローテーブルの上に座らされ、大きく足を開かされ、割れ目を舐められ、嬲られる。
目の回りそうな羞恥と快感が、忍足を支配していた。
ぴちゃ…くちゅ…。いやらしく、卑猥に動き回る跡部の舌。
されるがままの忍足の尻の下で、問題集が愛液に濡れていた。

「っとにやらしいオマ○コだよなァ…、こんなに濡らして…早く入れて欲しいンだろ、なぁ」

「あ…、せ、せんせぇ…うちのお○んこ、や、やらしい、から…はよ、入れて…?」

自ら割れ目を開いて見せる忍足に、跡部は息を呑んだ。
ピンク色の秘部はテラテラと濡れてひかり、ヒクヒクと震えて誘う。
見上げた忍足の表情は、それはそれはいやらしくて。

「侑…、クソッ、なんてことするンだよ…!」

一気に余裕が無くなった。
どこか腹立たしげに言ってから、荒々しく二本の指をソコに突き立てる。
中で指を折り曲げ、腹の方目掛けて何度も何度も刺激すれば、忍足は最早苦しそうに喘ぎ始める。

「あぁアッ!ひっ、あっ、あっ、ダメ、らめぇッ…!出ちゃう、せんせ、出ちゃうっ!やぁあー――ッ!!」

忍足が一際大きく鳴いた瞬間、ソコから大量の潮が拭き出した。
びくびくと何度も身体を震わせ、そしてその度に何回にも分けて大量の潮を吐き出す。
ぐっしょりと濡れた手の平を舐め上げてから、跡部がその日初めて忍足にキスをした。

「侑…すげぇ可愛かった…もう我慢できない、入れるぜ…?」

「ん、せんせのおちんちん、入れて…」

びしょびしょに濡れてしまったローテーブルから忍足を下ろし、絨毯の上に四つんばいにさせる。
ズボンを脱ぎ下着からペニスを取り出せば、跡部のそれはもう大きく膨れ上がっていて。
その大きさに、形に、ソレがいつも与えてくれる快感に、忍足は期待に目を細める。

「ンんっ、はっ…、あ、は、はいって、くるッ…ンぁ、あ…」

優しくゆっくりと。奥へ奥へと挿入されるその感覚に、忍足はびくびくと腰が震える。
濡れて熱く蠢く膣内の肉がペニスを包み込むその感覚に、跡部はに息を詰めた。

「すっげ…気持ち、いい…侑、わかるか…?俺のが入ってるの」

「ン、わ、わかる…せんせの、おちんちん、感じる…ッ」

ゆっくりと腰を動かし始める跡部。それに熱い息を吐く押忍足。
ペニスと体内との温度が混ざり合ってきた頃、動きは激しさを見せてくる。

「アァッ…、やっ、ええ、よぉ…気持ち、ええ、のッ…!せんせ、あ、あとべ、せんせ…ッ」

「お前のオマ○コの中は俺のペニスの形になってるもんなァ、侑…いいぜ、最高、だ…」

掠れた声で言いながら、心地よさそうに腰を揺する。
奥を突く度に締め付けられ、その快感が跡部を持ち上げていく。

「ッ…、出る…、イく…ッ、アァッ…」

唸るように声を漏らしたすぐ後、跡部が腰を引いて出ていく。
そして何度か小さく震えた直後、忍足の白い背中へと精液を吐き出す。

クーラーの動く音と、二人の荒い息遣いだけが部屋に響いていた。




「も、先生いやや…また勉強でけへんかった」

「いいじゃねーか、お前だってヨがってたンだから」

事後処理も終えた後、忍足は頬を膨らませながらお決まりの文句を告げる。
そして跡部はお決まりの返事。
いつもこうして済し崩しにセックスをしてしまうのだが、そこに愛が無いわけでもなく。

「……、ったく、怒るなよ、お前が可愛いからつい欲情しちまうンだって」

「せんせ、そうやって他の生徒さんにも手ェ出すんやろ…。せんせなんか嫌いやもん」

「ったく、これだから馬鹿は困るンだよ…」

「なんやねん、ばかばかって!」

「俺はお前以外に生徒受け持ってねぇンだよ、バーァカ」

極上の笑顔と極上のキスに、生徒は黙るしかなかった。





はい、跡忍で忍足女体化、しかも家庭教師と生徒。さらに淫語多め。
とにかくイーアールオーがテーマでした。そしてにょたりのチチをいじくるのが目標でした(笑)
『景吾はピアノが上手なんやね』

『ガキの頃からやってるからな』

黒く光るグランドピアノの前に座るのは、自分の主人。
そして自分の恋人だ。
昨夜結ばれたばかりの恋人。

奏でる曲は、平均律の第一番。
その上で景吾が歌うアヴェマリア。
朝の静かな屋敷に響く歌声と、ピアノの音と。誰もが聞き惚れていた。
景吾の存在すら消えかけていた屋敷中に、それは響いた。

『目ェ見えへんのに、弾けるん?』

『音が聞こえなくても指揮を振っていた偉大な作曲家だっている。俺は音が聴けるだけまだ救われてる』

諦めや、自嘲ではなかった。
ただそこにある事実を、現実を否定も公定もせずあるがまま受け入れた言葉だった。
景吾の話す様子に、忍足は無意識の安堵を覚えていた。

『お前にこの曲を』

一定の動きを辿っていた指が止まり音が止み、景吾が言った。
これは愛の曲。

波のように上下する音達の上、流れるような旋律が歌う。
時に激しく、優しく、美しい形で動きながら、少しずつ色の変わる曲。
美しいそれは、男が、美しい想い人を描き溜息をつくような。

『お前の顔を見たいとか、いつだって思うんだ』

ピアノを奏でながら、景吾が話す。

『けど、どんなに頑張ったところでそれは見えやしない。でも、何も見えないから、俺とお前がこうして結ばれたなら』

曲が静かに終わる。

『光を失った事を、俺は不幸だとは思わない』

そして二人の愛の歌が始まる。


頼りないと思っていた。今だって目の見えない彼は頼りない。
しかしこうして力強く言ってみせる姿に、あぁ、やはり彼を好きだと、忍足は感じる。
愛しい気持ちに胸がいっぱいになり、忍足は椅子に座る景吾を後ろから抱き締めた。
抱き締める腕が、頬にかかる息が、震えていた。
恋人が泣いている、それはすぐにわかった。
そしてそれが、決して悲しい涙でないことも。

『愛してる、景吾、愛してる…』

『俺も、愛してる。この言葉を自分の耳で聞けるんだ、それだけで俺は幸せなんだ』

壁の向こう側で聞いていた景吾の父も、もはや何も言えなかった。
何物にも優る愛が、そこにあった。


――――光を失えたから


やっとおしまい
『ハァッ、ハッ…侑士、侑士…』

『景、吾…アァッ…ぁ、愛し、てる…好き…大、好きや…‥』

君の顔は見れないし、君の身体も見れない。
けれど熱が声が、俺を掻き立てる、上り詰める。

『愛してる、愛してる…』

もっと、頂戴。


【その時光を失えたら】


『不味い……』

綺麗な眉を寄せて、顔を顰めて、景吾が一言零した。
口にしているのは、夕食のスープ。
テーブルの向かい側に座る忍足は、ひたすら苦笑いだ。

『いやァ…、料理は得意やないねん、堪忍やで』

景吾の一切の世話を任された忍足は、食事の準備までしている。
この状態になってもう一ヵ月経つというのに、忍足の料理の腕は一向にあがらない。

景吾の感想はこうだ。

食べられない不味さではない、だが、旨くもない。

初めてこの感想を聞いた時も、忍足は景吾からは見えないその顔に、苦笑いを浮かべるしかなかった。

『お前は優しいし、よく気が付くけど、料理だけは上手くならないよな』

それから、この一ヵ月で忍足は景吾のことをよく知った。
非常に、我儘である。
弱々しい姿を見せるわりに、その言動はなかなか自分本位で、そして荒々しい。

けれどそんなところもどこか愛しく感じる。
忍足は、景吾が好きであっだ。

『腹も膨れたし、風呂』

椅子から立ち上がり、部屋に備え付けの浴室へ向かう。
部屋の中を歩き回るのはもう慣れたもので、景吾は転げることも、ふらつくこともなく、きちんと歩くことができていた。
不謹慎というか、非常に身勝手な気持ちではあるが、忍足はなんだか少し、そのことが淋しく感じられた。

『風呂、一人で平気か?』

『平気だ。何かあれば呼ぶ』

素っ気ない態度。
忍足はまた、苦笑いを浮かべる。
景吾に愛を与えてやるはずが、自分は景吾に愛を求めてしまっているではないか。
情けない、しかしこれが恋なのだろう、忍足は同時に、納得のいく気持ちも感じていた。



『遅い、なぁ…‥』

景吾がなかなか風呂から出てこない。
心配になった忍足は一言呟いて、浴室へと足を進める。
浴室の曇りガラスのドアの向こう、見慣れたシルエットに声をかけようとして、そこで身が固まった。

『侑、士…ぁ、…ハァっ…』

色のある声。ぴくりぴくりと身悶えている身体。景吾は自慰をしている、らしい。
忍足は、ひどく、ひどく恥ずかしくなって、同時に涙が出そうな気持ちになって。
そしてなにより、自分の下腹部にも熱が溜まるのを感じて、あわてて便所に駆け込んだ。

『景吾…、ホンマかいな…』

まさか彼が自分を?
考えられない、しかし先に見たあの光景に、忍足の心は身体は歓喜している。
困惑、戸惑ったままの心を持て余しながら、けれどいつまでも便所に籠もっているわけにも行かず、忍足は部屋に戻った。

半端に熱を持ったこれは、自分も風呂で抜こう。


『あ…景吾…』

『悪い、のんびり入りすぎた』

風呂から出てきた景吾と、便所から出てきた忍足が鉢合わせになった。
気まずさが顔に出ても、それを読み取られることはない。
この時ばかりは、忍足は景吾の目に感謝した。

しかし、自分には光が見える。
目の前の景吾は腰にタオル一枚巻いただけで惜し気なく肌を晒している。
思わず息を呑む。思わず、喉が鳴った。
忍足は、口元を押さえて、爪先から頭の天辺まで駆け上がる、欲に、罪悪感に、熱に、絶望して、けれど同時に、抑制を諦めた。

『景吾…おいで』

『は?おい…忍足…?』

掴んだ手首は細くて、まだとても暖かく湿っていた。
それすら、自分を煽るだけだ。
アダムとイヴが、禁断の果実を口にしたように、これは甘く甘い罪だ。
罪の意識があるのだから、自分は未だ大丈夫。
言い聞かせて、真っ白いベッドの上、忍足は景吾を組み敷いた。

『何だよ…忍足、なぁ…』

見えない相手は今、何を考えて、何を思っているのか。
不安げに問う。景吾の声は心なしか震えていた。

『俺、景吾が好きや…』

言って、胸板を撫でながらキスをする。唇は、甘かった。
長い間室内に籠もり切りの景吾の肌は、やけに白い。
特別運動をすることもできないから、身体は妙に薄っぺらい。
そんな景吾にその気は無くとも、忍足は欲情できた。
景吾の身体は、十二分に忍足を欲情させた。

『忍足…おし、たり…?嫌だ、なに、してんだよ』

『景吾かて俺が好きやろ?知っとるんやで、見たもん、俺の名前呼びながら、一人でしてたやんか』

途端、白い肌に赤みが挿す。
あからさまに動揺してみせる景吾すら愛しくて、忍足は思わず笑みに顔を歪めた。

『見てた、のか…?』

『ごめんな。ホンマは、見るつもりなんか、無かってん』

口付けと、言葉と。
愛撫と、欲情と。
景吾の身体に触れながら、忍足はそれだけでひどく興奮した。

息を荒げ、乱れる景吾に、あぁ、これを、この画を目に焼き付けて自分も光を失えたら、それはなんて素敵な。

なんと倒錯的な。

『おしたり、おしたりっ…なに、してんだよ…どこ、に…あッ、ぁ…』

目の見えない景吾は、不意打ちのように刺激を与えられる。瞳からは涙がこぼれていた。
忍足は、口に景吾の雄を銜えながら、必死に自身の尻の穴を掻き回していた。
痛い、痛い、痛い。けれど、早く、早く、早く、繋がりたい。

『景吾、も、もうすぐ…やでっ…』

慣らし方は、足りていないだろうな。それはわかっていた。
けれど忍足は景吾を跨いで、陰茎を掴んで支え、一気に腰を下ろした。迎え入れたい、早く。

『アァー―――ッ!あっ、はっ、あ、ア…』

犬のようだ、滑稽であった。しかし、本望だ。
漸く結ばれた身体、その繋がりは嫌な音をたて、光を失った代わりに他人より優れた景吾の聴覚を犯した。
濡れた音、やけに粘着質のあるような、その音。
そしてまるで天井から降るような、悲鳴のような忍足の喘ぎ。
頭がおかしくなりそうだ、景吾は思った。

『おしたり…、侑、士…ゆうし、ゆうし…‥』

忍足が腰を上下させるたび、景吾は切なげにその名を呼んだ。
目の見えない自分にも感ぜられる、この幸せな熱。

『景、吾…アァッ…ぁ、愛し、てる…好き…大、好きや…‥』

降り掛かる言葉は、声は、彷徨い歩き拾い歩いたどんな音より、自分に必要なそれであった。
久しく与えられなかった自分にも、与えることはできるだろうか?
忍足の体内に精を吐き出しながら、その時笑った顔が、景吾は、見えた気すらした。


次で最後
夢を持てと励まされて。
夢を見るなと罵られる。

さて、俺は何処を目指すべきなのか。

自分の足元さえ見えていない俺に、夢なんか見れるはずがないじゃないか。
言った俺に、父さんがどんな顔をしたか、俺はそれだって、知らないのだ。


【光になれ】


坊っちゃんの世話を一切俺に任せてくれませんか?

クビにされるかもしれなかった。
忍足の賭けに近い提言に、景吾の父はひどく顔を顰めて、しかし小さく頷いた。
景吾の足には、跡の消えないひどい火傷がある。
目が見えなくなってすぐの頃、熱い風呂に無防備に足を突っ込んだらしい。
風呂を沸かしたのは、誰なのか、どの召使だったかなんて、景吾にはわからなかった。

その話を聞いてから、忍足は何かと景吾を気に掛けるようになった。
そして今日、提言が認められ、晴れて傍に付けるようになったのだ。

『ちゅうわけで、今日から俺、景吾だけの召使や』

昼を過ぎてもベッドに入ったままの景吾に、忍足はしかしとても嬉しそうに話し掛ける。
聞いているのかいないのかは、いまいちわからなかった。

『景吾、聞いとる?』

やや不満げな表情で問い掛けてみるが、やはり反応が無い。
心配になった忍足がベッドを覗き込めば、そこには景吾ではなく枕と景吾の飼い猫だけ。
布団の膨らみに、すっかり景吾がいると思い込んでいた忍足は驚愕だ。
毎朝顔を出していたのに、今日は旦那様と話していたから部屋に来ることができなかった。
景吾は自分を捜して、また屋敷をふらついているに違いない。

『何処行った、景吾…!』

屋敷内をひたすら駆けずり回る。
擦れ違う皆が振り返るのは、きっと自分が凄い顔をしているからだろう。

景吾はそんな視線すら感じることができない。
忍足は、走りながら胸が痛むのを感じた。

『夢を見るな景吾。今更何をしたところで遅い』

『夢を見てるわけじゃねェ。俺は俺の足元だって見えてない。夢だって見れるわけが…‥、ッ!』

親子の会話が聞こえる。ここは旦那様の部屋だ。
忍足は、辺りを見回してから聞き耳を立てた。
景吾の声が途切れると同時に、大きな音。嫌な汗が額を伝った。

『旦那、さま…‥』

『あれの世話はお前に任せたはずだが?しっかり頼むよ…仕事の邪魔だ』

持ち主の出ていった部屋に慌てて駆け込めば、大きな本棚を背に座り込む景吾がいた。
殴られて、倒れて、本棚に思い切り身体を打ったらしい。分厚い本がいくつも落ちている。
口の端から血を垂らしながら、景吾は、本のページを指でなぞっていた。

『景吾…‥』

『忍足、か。…点字の勉強がしたいって言ったら、夢見るなってよ。夢なんか見ちゃいねぇのに、目が見えるようになるなんて夢、見てるわけじゃないのに…』

だいたいこの辺りだろう。
名前を呼ぶ声のした方へ、景吾は感覚で顔を向ける。
綺麗な顔には傷ができていた。

諦め。
その言葉が最もよく似合うであろう、景吾の力無い表情に、忍足は決意するのだ。

愛を教えてあげよう、俺が。
彼は愛されなければいけない。
景吾の正面にしゃがみこんで、腕を伸ばした。
強く強く抱き締めて、自分より景吾の方が辛いというのに、涙が流れた。

君にはこの、頬を伝う小さな光さえ見えない。

俺が、大きな光になればいい。


その時光を~へ続きます
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小説や日記、小ネタ等を投下していくヲタクなブログです。サイトの代わりに運営しているのでコメントやメッセージは大歓迎です。
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コメントするのが嫌だわ、というシャイなお嬢さんは(笑)
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こちらまでご連絡ください!

ジャンルはサイトをやっていた頃とほとんど変わりませんが…
テニス(忍受け、跡受けなど)
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…こんな感じです。
同志様は是非仲良くしてください!

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