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古い小説から最近のまでおいてあります。
古いのはなんだか恥ずかしいのでいつ消すかわかりません。

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どパラレル。
探偵跡部と怪盗忍足(笑
世間を騒がせる、そう、恋人は世を駆け夜を駆ける、怪盗―――。
探偵なんてのはなかなか退屈な職業で、平和な、極めて治安の良いこの街にはあまり必要無い職だった。
最近現れた有名な怪盗も、自分の恋人ならば捕える気になるはずもない。
ユーシは恋人であり、仕事の上では形だけの敵。
アイツが盗みを働くのは私利私欲の為ではなく、まぁ理由はいろいろあるのだ。
主として奪われたものを取り返してやったり、それこそ私利私欲の為に金儲けをする一部の馬鹿共を制裁する。
そんな意味もあったから、そう、だから捕まえる気にもならない。
今夜も今夜で町外れの豪商の屋敷に参上するとか。
わざわざ事前に予告するあたり怪盗らしい(俺ならまずこんなことはしない)。
『さて…行くか…』
警察共に勝手にやってくれと言いたいところだがそうもいかず。俺も結局駆り出される羽目になる。
有名な怪盗は、ユーシとその名をとどろかせてはいるが、素性は一切明らかになっていないのだ……俺以外には。
だから探偵まで駆り出される。無駄な努力だ。
その探偵すらアイツの味方なのだから。
予告された時刻、夜11時。世を駆ける、夜を駆ける美しいそれが、屋敷を自分の色に染める。
一切の照明が落とされた。
『奴だ!逃がすな!』
無理だ馬鹿。逃走ルートは確保済み。俺の手で。
怪盗の手助けをする探偵がどこにいようか。しかしここにいたりするわけだ。
仕事と私とどっちが大事なのよ!と、こう言われれば、お前だ、と即答できるくらいには俺はアイツを愛している。
アイツもまた然り。
『よぉ、ご苦労さん…』
『ケーゴ…おおきに』
黒いマントを引き摺りながら、盗みだした絵画を必死に運ぼうとする。
世の中では天才だとか芸術的な業だとか美形だとか(これは本当だ)言われている。
しかし、実はこうやって地味に懸命に盗品を運んでいたりする。怪盗も楽じゃないらしい。
裏庭で待ち伏せていれば、予定通り奴はやってきた。
へらっと笑いながら礼を言う。綺麗な服は激しい動きに乱れていたし、大きな絵画を運んで疲れたのか息があがっていた。
こりゃあ、俺がもたねぇ…
『ちょ、ケーゴ?どういうことや、俺はこの絵を、持ち主の女の子にこっそり返しにいかなアカンのに!』
『うるせぇ…こんな仲だ、いつも会えるわけじゃねぇ、いや、こんな風に仕事の時にくらいしか会えない。俺はもっと一緒にいたいのに…』
ユーシを庭の茂みに引きずり込む。慌てて逃げようとするが、馬鹿、お前が俺様に力で適うはずがない。
それでも必死に立ち去ろうとしたそいつの後ろ姿を覆う、上質な天鵞絨の真っ黒のマントを思い切り踏み付けてやれば、
後ろに引っ張られた身体は易々こちらに倒れこんできた。
『びっくりするやん!ちゅうか、こないしとったら見つかるし…。そしたらケーゴまで怪しまれるで?』
『馬鹿言うな。俺様がいるから捕まらねぇんだろ?』
ああだこうだと口論する間にも手はきちんと動かして内腿を撫でる。
時折脚の付け根付近まで撫でてやれば息を詰まらせ、こちらにかかる体重は少しずつ増してくる。
力が抜けはじめた相手に内心ほくそ笑んで、勝った、と、そう勝利を確信…したの、だが…
『窓が開いている!裏庭へ逃げたはずだ!』
警察か、その声と、足音。それなりの人数だろう。
悔しさに舌打ちすれば、逆に恋人は天の助けとばかりに顔をあげ身体に力が戻る。
『畜生…邪魔な奴等…』
『残念、ケーゴ。また今度、必ず会いにくるわ、仕事以外でな。せやから今はこれで我慢してや?』
笑顔で振り返った恋人の唇が額に触れる。踏ん付けたままだったマントを脱ぎ捨て、一瞬にしてその場から去る。
残されたのはやはり天鵞絨の黒。
してやられた、キス一つで、それも唇じゃない。
そんなもので我慢がきくはずもなく、恋人はしかしそれを知っていながら俺に仕掛けた。
夜の屋敷、警察の声。
薄暗い茂み、天鵞絨の黒。
立ち尽くす、探偵の、心を盗む。
そう、恋人は、怪盗!
探偵跡部と怪盗忍足(笑
世間を騒がせる、そう、恋人は世を駆け夜を駆ける、怪盗―――。
探偵なんてのはなかなか退屈な職業で、平和な、極めて治安の良いこの街にはあまり必要無い職だった。
最近現れた有名な怪盗も、自分の恋人ならば捕える気になるはずもない。
ユーシは恋人であり、仕事の上では形だけの敵。
アイツが盗みを働くのは私利私欲の為ではなく、まぁ理由はいろいろあるのだ。
主として奪われたものを取り返してやったり、それこそ私利私欲の為に金儲けをする一部の馬鹿共を制裁する。
そんな意味もあったから、そう、だから捕まえる気にもならない。
今夜も今夜で町外れの豪商の屋敷に参上するとか。
わざわざ事前に予告するあたり怪盗らしい(俺ならまずこんなことはしない)。
『さて…行くか…』
警察共に勝手にやってくれと言いたいところだがそうもいかず。俺も結局駆り出される羽目になる。
有名な怪盗は、ユーシとその名をとどろかせてはいるが、素性は一切明らかになっていないのだ……俺以外には。
だから探偵まで駆り出される。無駄な努力だ。
その探偵すらアイツの味方なのだから。
予告された時刻、夜11時。世を駆ける、夜を駆ける美しいそれが、屋敷を自分の色に染める。
一切の照明が落とされた。
『奴だ!逃がすな!』
無理だ馬鹿。逃走ルートは確保済み。俺の手で。
怪盗の手助けをする探偵がどこにいようか。しかしここにいたりするわけだ。
仕事と私とどっちが大事なのよ!と、こう言われれば、お前だ、と即答できるくらいには俺はアイツを愛している。
アイツもまた然り。
『よぉ、ご苦労さん…』
『ケーゴ…おおきに』
黒いマントを引き摺りながら、盗みだした絵画を必死に運ぼうとする。
世の中では天才だとか芸術的な業だとか美形だとか(これは本当だ)言われている。
しかし、実はこうやって地味に懸命に盗品を運んでいたりする。怪盗も楽じゃないらしい。
裏庭で待ち伏せていれば、予定通り奴はやってきた。
へらっと笑いながら礼を言う。綺麗な服は激しい動きに乱れていたし、大きな絵画を運んで疲れたのか息があがっていた。
こりゃあ、俺がもたねぇ…
『ちょ、ケーゴ?どういうことや、俺はこの絵を、持ち主の女の子にこっそり返しにいかなアカンのに!』
『うるせぇ…こんな仲だ、いつも会えるわけじゃねぇ、いや、こんな風に仕事の時にくらいしか会えない。俺はもっと一緒にいたいのに…』
ユーシを庭の茂みに引きずり込む。慌てて逃げようとするが、馬鹿、お前が俺様に力で適うはずがない。
それでも必死に立ち去ろうとしたそいつの後ろ姿を覆う、上質な天鵞絨の真っ黒のマントを思い切り踏み付けてやれば、
後ろに引っ張られた身体は易々こちらに倒れこんできた。
『びっくりするやん!ちゅうか、こないしとったら見つかるし…。そしたらケーゴまで怪しまれるで?』
『馬鹿言うな。俺様がいるから捕まらねぇんだろ?』
ああだこうだと口論する間にも手はきちんと動かして内腿を撫でる。
時折脚の付け根付近まで撫でてやれば息を詰まらせ、こちらにかかる体重は少しずつ増してくる。
力が抜けはじめた相手に内心ほくそ笑んで、勝った、と、そう勝利を確信…したの、だが…
『窓が開いている!裏庭へ逃げたはずだ!』
警察か、その声と、足音。それなりの人数だろう。
悔しさに舌打ちすれば、逆に恋人は天の助けとばかりに顔をあげ身体に力が戻る。
『畜生…邪魔な奴等…』
『残念、ケーゴ。また今度、必ず会いにくるわ、仕事以外でな。せやから今はこれで我慢してや?』
笑顔で振り返った恋人の唇が額に触れる。踏ん付けたままだったマントを脱ぎ捨て、一瞬にしてその場から去る。
残されたのはやはり天鵞絨の黒。
してやられた、キス一つで、それも唇じゃない。
そんなもので我慢がきくはずもなく、恋人はしかしそれを知っていながら俺に仕掛けた。
夜の屋敷、警察の声。
薄暗い茂み、天鵞絨の黒。
立ち尽くす、探偵の、心を盗む。
そう、恋人は、怪盗!
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プロフィール
HN:
詩子
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/08/13
職業:
学生
趣味:
買い物・音楽鑑賞
自己紹介:
小説や日記、小ネタ等を投下していくヲタクなブログです。サイトの代わりに運営しているのでコメントやメッセージは大歓迎です。
リンクについては同人サイト様につきフリー。報告や連絡いただければそちらにも遊びにいきます♪
コメントするのが嫌だわ、というシャイなお嬢さんは(笑)
utagawa_hikaru☆hotmail.com
(☆を@に変えてくださいね)
こちらまでご連絡ください!
ジャンルはサイトをやっていた頃とほとんど変わりませんが…
テニス(忍受け、跡受けなど)
サガフロ(いろいろ)
もしかしたらアイシ(阿雲)
オリジ(気が向けば)
…こんな感じです。
同志様は是非仲良くしてください!
何かありましたらお気軽にご連絡を。
リンクについては同人サイト様につきフリー。報告や連絡いただければそちらにも遊びにいきます♪
コメントするのが嫌だわ、というシャイなお嬢さんは(笑)
utagawa_hikaru☆hotmail.com
(☆を@に変えてくださいね)
こちらまでご連絡ください!
ジャンルはサイトをやっていた頃とほとんど変わりませんが…
テニス(忍受け、跡受けなど)
サガフロ(いろいろ)
もしかしたらアイシ(阿雲)
オリジ(気が向けば)
…こんな感じです。
同志様は是非仲良くしてください!
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