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古い小説から最近のまでおいてあります。
古いのはなんだか恥ずかしいのでいつ消すかわかりません。

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青い空に高々と舞い上がる白球を追う姿は、無条件に美しいものだ。
澄んだ空に響く声は、若い彼等の咆号である。
空を揺らす程の歓声で
高い音が空に響いた。金属バット特有のその音は、彼等の耳には聞き慣れたものだ。
真芯で捉えられた白球が広い空を駆ける。
高いフェンスを越え敷地を越えたあの球は、果たしてどこまで飛んだだろうか。
相手がバッティングマシンでよかった。あんな風に打ち砕かれてしまっては、投手は自信喪失である。
快音を響かせ柵越えを放ったのは二年生の樺地。練習中の部員達が騒つく。
『オラ、気ィ取られてんじゃねぇさっさと動け!』
透かさずキャプテンからの激が飛んだ。
部員達はまた各々の練習を開始する。
エースでありキャプテンである跡部は、女房役の樺地がバッティング練習中とあって暇を持て余していた。
代わりになる程の人材はいなかったし、とにかく投げ込みたい今、他の練習をする気にもならない。
球速を然程落とさず低めへ落ちるSFF、決して芯を食わせないSスライダーを武器に、速球中心のピッチングをする跡部。その豪速球をまともに受けられるのは樺地くらいなのだ。
跡部は溜息をついて練習風景を眺める。どうにもクセの強い部員ばかりだ、と。
『手ェ抜いてんじゃねーよ侑士!真面目にやれ!』
『えー、せやって疲れるやんかーあんまり気張ると』
吠えるのは向日だ。一緒に外野ノックを受ける忍足に文句を付ける。
イマイチ気が乗らないのか、緩い送球で中継に返球をする忍足に向日がキレたらしい。
炎天下、よくもまぁそんなに元気でいられるものだと、忍足は尊敬すらしていた。
直に日差しを受ける為、球と太陽が被り目をやられる。外野手はそんな状況とも戦いながら練習に励む。
高々と打ち上げられた白い球が、白く光る太陽と重なるのをぼんやり眺めながら、その中に球の輪郭を見出だしながら、距離感を感じ取りながら、風の揺らぎを、かけられた声を、自然に動きだす足を、全てを取り込み計算しながら、忍足が、落下点でグラブを構えた。
真昼の炎天下、外野ノックは堪忍や、と、愚痴を零しながら。
『何処見て投げてんだアイツは……』
ふと跡部が目をやった先、必死に頭を下げる鳳の姿が目に入る。
本塁併殺。ホームゲッツーの練習をしていたらしい鳳が投げたボールが、見事バックネット、フェンスにめり込んでいる。
どれだけのノーコンで、どれだけの速さであの球を放ったのだろうか。
額に手をあてながら、跡部は盛大に溜息をついた。
課題は山積みである。
『跡部ぇー!宍戸が、宍戸がぁー!!』
『ジローてめぇ卑怯だぞ!跡部に頼るなよ!』
さらに頭を重くする声が聞こえ、それと一緒に背中に重みを感じ、跡部は本日何度目かの眩暈を感じる。
芥川が背中にべったりともたれかかっていた。
走塁練習、アウトだセーフだと、二人はどうやら揉めていたらしい。
たかが練習で揉めるなと言いたい跡部であったが、彼等にそれを言っても無駄であろう。
ガキと、負けず嫌いが揃ってしまっていては仕方ない。
『あぁ、うるせぇな…。この際どっちでもいいだろ、ジャンケンだ、ジャンケンで決めちまえ』
やれやれ、と、立ち上がる。
どうやらようやく樺地がバッティング練習を終えたらしい。
グラブと、硬球とを手に取り、跡部がゆっくりと歩きだす。
やや土の高くなったステージを踏みしめ、プレートにかかってしまった土を足で払う。
ただ一点、口を開けて待つ相棒のミットに、ただ一心、放り込めばいい。
力強く踏み込め!
あの一点へ、全力を!
乾いた音をたてて白球がそこにおさまる。痺れる程の重さで、目にも留まらぬ速さで、決して砕かれぬ鋭さで。
この球が、この夏、青い空を揺らす程の歓声を、沸き起こらせる。
澄んだ空に響く声は、若い彼等の咆号である。
空を揺らす程の歓声で
高い音が空に響いた。金属バット特有のその音は、彼等の耳には聞き慣れたものだ。
真芯で捉えられた白球が広い空を駆ける。
高いフェンスを越え敷地を越えたあの球は、果たしてどこまで飛んだだろうか。
相手がバッティングマシンでよかった。あんな風に打ち砕かれてしまっては、投手は自信喪失である。
快音を響かせ柵越えを放ったのは二年生の樺地。練習中の部員達が騒つく。
『オラ、気ィ取られてんじゃねぇさっさと動け!』
透かさずキャプテンからの激が飛んだ。
部員達はまた各々の練習を開始する。
エースでありキャプテンである跡部は、女房役の樺地がバッティング練習中とあって暇を持て余していた。
代わりになる程の人材はいなかったし、とにかく投げ込みたい今、他の練習をする気にもならない。
球速を然程落とさず低めへ落ちるSFF、決して芯を食わせないSスライダーを武器に、速球中心のピッチングをする跡部。その豪速球をまともに受けられるのは樺地くらいなのだ。
跡部は溜息をついて練習風景を眺める。どうにもクセの強い部員ばかりだ、と。
『手ェ抜いてんじゃねーよ侑士!真面目にやれ!』
『えー、せやって疲れるやんかーあんまり気張ると』
吠えるのは向日だ。一緒に外野ノックを受ける忍足に文句を付ける。
イマイチ気が乗らないのか、緩い送球で中継に返球をする忍足に向日がキレたらしい。
炎天下、よくもまぁそんなに元気でいられるものだと、忍足は尊敬すらしていた。
直に日差しを受ける為、球と太陽が被り目をやられる。外野手はそんな状況とも戦いながら練習に励む。
高々と打ち上げられた白い球が、白く光る太陽と重なるのをぼんやり眺めながら、その中に球の輪郭を見出だしながら、距離感を感じ取りながら、風の揺らぎを、かけられた声を、自然に動きだす足を、全てを取り込み計算しながら、忍足が、落下点でグラブを構えた。
真昼の炎天下、外野ノックは堪忍や、と、愚痴を零しながら。
『何処見て投げてんだアイツは……』
ふと跡部が目をやった先、必死に頭を下げる鳳の姿が目に入る。
本塁併殺。ホームゲッツーの練習をしていたらしい鳳が投げたボールが、見事バックネット、フェンスにめり込んでいる。
どれだけのノーコンで、どれだけの速さであの球を放ったのだろうか。
額に手をあてながら、跡部は盛大に溜息をついた。
課題は山積みである。
『跡部ぇー!宍戸が、宍戸がぁー!!』
『ジローてめぇ卑怯だぞ!跡部に頼るなよ!』
さらに頭を重くする声が聞こえ、それと一緒に背中に重みを感じ、跡部は本日何度目かの眩暈を感じる。
芥川が背中にべったりともたれかかっていた。
走塁練習、アウトだセーフだと、二人はどうやら揉めていたらしい。
たかが練習で揉めるなと言いたい跡部であったが、彼等にそれを言っても無駄であろう。
ガキと、負けず嫌いが揃ってしまっていては仕方ない。
『あぁ、うるせぇな…。この際どっちでもいいだろ、ジャンケンだ、ジャンケンで決めちまえ』
やれやれ、と、立ち上がる。
どうやらようやく樺地がバッティング練習を終えたらしい。
グラブと、硬球とを手に取り、跡部がゆっくりと歩きだす。
やや土の高くなったステージを踏みしめ、プレートにかかってしまった土を足で払う。
ただ一点、口を開けて待つ相棒のミットに、ただ一心、放り込めばいい。
力強く踏み込め!
あの一点へ、全力を!
乾いた音をたてて白球がそこにおさまる。痺れる程の重さで、目にも留まらぬ速さで、決して砕かれぬ鋭さで。
この球が、この夏、青い空を揺らす程の歓声を、沸き起こらせる。
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プロフィール
HN:
詩子
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/08/13
職業:
学生
趣味:
買い物・音楽鑑賞
自己紹介:
小説や日記、小ネタ等を投下していくヲタクなブログです。サイトの代わりに運営しているのでコメントやメッセージは大歓迎です。
リンクについては同人サイト様につきフリー。報告や連絡いただければそちらにも遊びにいきます♪
コメントするのが嫌だわ、というシャイなお嬢さんは(笑)
utagawa_hikaru☆hotmail.com
(☆を@に変えてくださいね)
こちらまでご連絡ください!
ジャンルはサイトをやっていた頃とほとんど変わりませんが…
テニス(忍受け、跡受けなど)
サガフロ(いろいろ)
もしかしたらアイシ(阿雲)
オリジ(気が向けば)
…こんな感じです。
同志様は是非仲良くしてください!
何かありましたらお気軽にご連絡を。
リンクについては同人サイト様につきフリー。報告や連絡いただければそちらにも遊びにいきます♪
コメントするのが嫌だわ、というシャイなお嬢さんは(笑)
utagawa_hikaru☆hotmail.com
(☆を@に変えてくださいね)
こちらまでご連絡ください!
ジャンルはサイトをやっていた頃とほとんど変わりませんが…
テニス(忍受け、跡受けなど)
サガフロ(いろいろ)
もしかしたらアイシ(阿雲)
オリジ(気が向けば)
…こんな感じです。
同志様は是非仲良くしてください!
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