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初めての方はカテゴリから説明へどうぞ。 古い小説から最近のまでおいてあります。 古いのはなんだか恥ずかしいのでいつ消すかわかりません。



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グスロベ続き。




『いい鉱脈だなここは…モンスターに奪われるなんてもったいない』

足元にごろごろと良質な鉱石が転がっている。
拾い上げて力を込めればそれはロベルトのアニマに反応して光った。
良いツールになるだろう。

奥へ進めば進むほど、洞窟の中は湿気に包まれていく。
異常なまでの湿度の高さ。
立ち止まり壁に手をつくと、そこはぬるりと滑った。

まずい、直感的にそう感じた。
既にモンスターのテリトリーに入り込んでいる。

小さく舌打ちして弓を引く、炎のアニマを込めて放った矢は固い鉱石だらけの壁に突き刺さり、炎が辺りを照らす。
暗がりにぼんやりと浮かんだのは、巨大なスライム。

『おいおいデカすぎるだろうコイツは…、みくびったな、大した気配は感じなかったんだが』

先程壁についた右手の手袋が焼けるように溶けている。
壁に付着していたぬるつく液体はスライムの溶解液。
湿気のせいか、焦りからか、ロベルトの額を汗が伝った。

『派手に暴れてくれるなよ!せっかくの鉱脈溶かされちゃァ困るんだ!』

叫んだロベルトの手元が赤く光り、スライムを囲うように魔法陣が浮かび上がる。
そこからどっと沸き上がる炎がスライムの体を蒸発させ、こなごなにしていく。
爆発が起こる度スライムの体が飛び散った。
もう幾度目かの術を放とうとしたその時、ロベルトが何かに足をとられる。

『ッ?!』

蒸発しきらなかった、小さく飛び散ったスライムの体が集まってロベルトの足の周りにぴったりと張り付いている。
それはあっという間に大きく膨らみ、ロベルトの体を宙へと持ち上げた。
足を捻り上げられ弓は手から離れ、眼下にはスライムの核。
変幻自在のスライムの体に足を縛られちゅうぶらりんになったロベルトは、自らの足を目がけて術を放とうとした。

『こんな所で溶けて死ぬなんて御免だ!』



しかし術は不発。
術に必要なアニマを持ったツールが、吊り上げられた際に外れてしまったのだ。
抵抗の出来なくなったロベルトに一斉にスライムの触手が伸びる。
脚に腕に腰に…身体中に巻き付いて締め上げる。
触手の触れた部分から、服が溶けだすのがわかった。

『……くそ…ッ、』

苦しげに声をあげたロベルトを、一気に樹のアニマが包み込む。
吹き荒れる風の中に激しい剣の音。
これは間違いない、相棒の技。

『チリになるまでだ…』

静かな怒りだった。
炎の剣でスライムを幾度と切り裂く。
次第に小さくなっていくその体。
欠片ひとつ残さずに、グスタフのアニマがスライムを焼き払った。

初めの一撃、疾風剣で体に巻き付いた触手から逃れたロベルトはそのまま床にたたき付けられ、座り込んだまま、修羅のごとく戦う相棒をただただ眺めていた。



『大丈夫か?』

傷ひとつ作らずに戦いを終えた相棒には、感謝したいがどこか腹が立った。
自分がやられかけた相手をこうも簡単に消すのだから。

『あ、あぁ…大丈夫だ、多少溶かされかけたけどな』

平気平気、と笑って見せるロベルトにグスタフは背を向けてしゃがみこんだ。

『乗れ、どうせまともに歩けないだろう?』

『は…?ちょっ、俺におんぶされろって言うのかよ!』

目を真ん丸くしたロベルトに、グスタフは表情だけで『早くしろ』と促す。
渋々背に乗ったロベルトをおぶってグスタフは足早に宿屋を目指す。
おんぶされている姿を見せたくないであろう相棒への気遣いもあるが、あちこち服が溶けて肌が露出してしまっている姿を見せたくない、というのが本音だった。

『悪ぃ…頼りになる相棒置いて一人でなんか行くもんじゃねぇな』

『私も昨夜はすまなかった、喧嘩などしなければこうはならなかった』

大きな男二人がおんぶしながらされながら笑っているのははたから見れば異様な光景であったが、その二人が鉱山を救ったのだからまた驚きだ。
こうして二人が北で名を上げていくのは、もうすぐ…。






スライムの溶解液で服が溶けちゃうロベルト、ていうのがどうしても書きたかっただけです…(笑)
アニマとか術とかをどういう風に表現したらいいかとても悩む。
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小説や日記、小ネタ等を投下していくヲタクなブログです。サイトの代わりに運営しているのでコメントやメッセージは大歓迎です。
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