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初めての方はカテゴリから説明へどうぞ。 古い小説から最近のまでおいてあります。 古いのはなんだか恥ずかしいのでいつ消すかわかりません。



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あの後ノヴァは風の様に消えた。
顔を顰めて、地上の空気は合わないと言っていた。

『時間は有りません…、けれど、その、僕は力不足だと思うのです』

呑気にケーキを頬張りながらフィリップが話す。
このマイペースな性格は母親譲りだ。

『それで、東国のミラへ向かうと』

東国のミラ。
そこは山と海とに囲まれた閉鎖的な国であり、そして武術にたけた民の多い国。

『いくら神を消す力が僕の中に眠っていると言われても、それだけで敵う相手とは思えない、それにきっと、デュオの元へたどり着くまでに、魔物達と戦うことも必ずあるはずです…その為にも、力をつけたい』

カシャン、フォークが皿に置かれる小さな音がした。
父は息子の決意に無言で頷き、母は娘の肩を抱いていた。

『兄さんにも会えるかもしれませんから』

椅子から立ち上がったフィリップが、壁にかかる家族の肖像画を眺める。
そこには幼いフィリップ、エリーの他にもう一人、同じ髪の色、同じ瞳の色の子供が描かれている。

彼の名前はアグリアス・カノン。
フィリップの双子の兄だ。

幼い頃、魔物に連れ去られた。

恐らく食われてしまったのだろうと両親や家の者は悲しんだが、フィリップだけは生きていると信じている。
庭で遊んでいた二人、アグリアスだけが魔物に連れ去られたのだ。
その画はフィリップの幼い瞳に焼き付いた。
未だに離れない。

その事件以来、フィリップの元来穏やかな性格は更に更に穏やかになった。
心には、見えない傷が残ったようだった。

『フィリップ、アグリアスはもう…』

『生きています』

フィリップには珍しい、力強い声。

『兄さんは生きています、必ず、どこかで。僕は信じています』

父も母も、それ以上何も言えなかった。
いつの間にか大きくなったなぁ、母は息子の姿に小さく息をついた。


少年は、旅立つ。


【双子】




はい、次は理不尽なたびだちです!(笑)
今日は水面氏といろいろ語ったのでがっつり書きたいなぁ…
日記は後程。
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女性
誕生日:
1987/08/13
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買い物・音楽鑑賞
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小説や日記、小ネタ等を投下していくヲタクなブログです。サイトの代わりに運営しているのでコメントやメッセージは大歓迎です。
リンクについては同人サイト様につきフリー。報告や連絡いただければそちらにも遊びにいきます♪
コメントするのが嫌だわ、というシャイなお嬢さんは(笑)
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…こんな感じです。
同志様は是非仲良くしてください!

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