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ひらりひらり…。
ひらひら。
落ち着かへん…。

『違う、それはあっちだ』

跡部から借りた本を返そうと思うて、跡部んちにやってきた。
書斎に通されたから、あぁ、跡部はまた小難しい洋書でも読んでいるのかと中に入ったら、面食らった。
あの坊っちゃんが掃除しとる!

しかも、しかも三角巾にエプロン姿で!



【エプロン】



『この本はここでええ?』

『違う、それはあっちだ』

明らかに驚いて、不躾にじろじろと視線を送っとったらしい。
跡部が物凄い目付きで、暗に「何が言いたい」と示してきたもんやから、俺は慌てて、掃除を手伝うという行為で最悪の事態を逃れようとした。
その結果、跡部にこき使われて蔵書をあちらこちらと移動させとる。
せやけど目の前でひらひらと舞う白いエプロンに目がいってもうて仕方がない。
かといって、気にして手が止まれば跡部から小言が飛ぶ。
そもそもなして坊っちゃんエプロンなんかしとんねん!笑いとうてたまらんわ!

『ふぅ、これで終わり?』

整った本棚を見て満足して跡部に問い掛ける。エプロンした跡部に。
そしたら、そしたら無慈悲なこたえが返ってきよった。

『隣の部屋にもう一つ書斎があるんだ。父さんの』

その隣の部屋とやらに行ってみれば、今掃除した書斎なんか比にならないような広さ、蔵書の数。
ここの掃除も手伝えっちゅうんか!
お前んちには何の為にお手伝いさんがおるんや!
なんでも貴重な原版やら何やらの蔵書を、お手伝いさんには触らせたくないらしい。
せやったら俺にも触らせんでくれ。

おまけにあの、坊っちゃんのエプロン姿に目をやられてまう。
もとが綺麗やから妙に似合っとるあたりもまた笑える。
埃が付くからやろう、ズボンは膝下まで捲ってあって、シャツの袖も肘まで捲り上げてある。
普段俺様な跡部が、こんな格好で掃除しとるなんて、この衝撃映像を形に残したら売れるやろか。

『おい忍足…そんなにコレが気になるか、あ?』

『え…?別にそないなことあれへんで…?』

あかん、いよいよ坊っちゃん怒らせてしもた。ものっそい目付きで睨んでくる。
何を考えとるのか顎に手を当ててしばし黙り込む。
堪忍してや、悪気は無いで!

『そんなに気になるならお前にもやるよ、エプロン』

にっこり。女共ならぶっ倒れる笑顔で跡部さまがおっしゃった。
いらんわエプロンなんて!せやけど遅い、満面の笑みに押されて負けて、結局エプロン付けることに。

『なしてこれやねん!』

『いいじゃねぇか似合ってるぜ?すげぇ可愛い』

跡部が付けとるエプロンは、シンプルでただ普通のエプロン。
やのに俺が渡されたのは、ひらひらレースつき、跡部んちのお手伝いさんのエプロン。
この差はなんやの!やけくそになって付けてやったら、可愛えやなんて、後ろから抱き締めながら言うもんやから、思わず顔が熱くなる。

こういう時の跡部は狡い。

『何だよ、耳まで真っ赤』

言いながらその赤くなった耳を舐められて、身震いしてもうた。
小さく息が漏れて、力が抜けかける。
目の前を見れば姿見の鏡。
やられた!そこには跡部に抱き締められて白いひらひらのエプロン付けて顔を真っ赤にしてとろんとした目でこちらを見る俺が。
あまりの羞恥に身体の奥が震える。わかっとってこういうことをするんやから跡部はホンマに狡い。

『跡部…も、恥ずかし…』

我ながら反吐が出る。甘ったるい声で言うてみる。
いや、恥ずかしいのはホンマのことやし。
耳元に寄せられた顔。息されるだけで腰が砕けそうになる。
懸命に耐えて返事を待つ間にも、鏡の中のエプロン姿の俺がやけにいやらしく見えた。

『可愛いぜェ…こんな、女モノのエプロン付けて…。恥ずかしい格好して感じてんだろ…?』

ゲームオーバー。放たれた台詞に、一切の思考が停止。鏡の中に見える俺が、こっちの俺を馬鹿にしたように笑った気がした。
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ややえろあり



『跡部!見て見て、海、海見えるでー!』

どうして俺様がこんなノロイ電車に、それもローカル線に乗っているか。
どうして海が見えるようなトコロまで来ているか。恋人のお願いとあっては仕方がないのだが。


【温い湯の中で】



『俺な、海が見えて、ちょっと田舎の、小綺麗な旅館に泊まりに行きたいねん』

また一体どうしたかは知らんがまず確実に映画に影響されたのだろうとは思う。
九月の連休前にいきなりすっとんきょーなお願いをしてきた恋人。
こいつが俺にモノ頼むなんてあんまりないから今回はきいてやることにした。
雰囲気出ないからとか言って車出すことは断固拒否。おかげで今に至る。

『跡部…なんか機嫌悪い?やっぱりこないなんおもろない…?ごめんなぁ、俺が我儘言ってもうたから…』

『はぁ?別にそんなことねぇよ…気にしすぎだ』

こいつはこうやって、はしゃいでいたかと思えば急に殊勝になったりするもんだから困る。
申し訳なさそうに見つめてくる瞳に、慌てて笑顔を繕ってやった。

電車の窓から見える景色は何年も前に両親に連れていってもらった場所に、まだ俺が幼かった頃見た景色に似ていた。
最近じゃすっかり話もしなくなった。
遊んだりなんかするはずもない。旅行になんて行くはずもない。
食事すら一緒にはとらなくなった両親を頭に描けば、なんとなしにしか顔が浮かばないことに気付いた。
俺にそんなものは必要ない。俺は跡部の後継ぎじゃあない。言いなりにはならない。
俺はあいつらが思っているほどイイ子ではない。
殴り合いの喧嘩だってする。暴言だって吐く。ましてや男と付き合っているような異端児だ。
だがしかし、縛られまいとしているはずが、成績でも部活でも、常に上に、常に完璧であろうとするのは、
それはやはり縛られているからなのだと、己の性質の一部が、すでに跡部に植え付けられたモノなのだと思わせる。

『跡部やっぱり顔色悪い』

余程難しい顔をしていたのだろうか。
心配して声をかけてくるこいつに、俺はもしかしたら愛情だけでなく、父性とか母性とかをいっぺんに求めているのかもしれない。

『心配ない…ほら、着いたぞさっさと降りろ』

目的地のある駅は、少し歩けばすぐに浜辺に出れるような所にあった。
駅を出るなり、人のいない静かな夕方の浜辺を見て恋人が幸せそうな溜め息を洩らした。

俺の口からは溜め息すら洩れない。
夕日に染まった海でさえ、鮮やかなオレンジさえ、
感傷を、寂しさを、父性への欲求を、母性への欲求を、愛を求める子供っぽい感情を、あの頃の思い出を、増長させるだけで。

『ココまで来て疲れたな、早いとこ宿まで行くぞ…』

恋人の方を振り向けば、オレンジに染められたその顔に、この人が母親だったらなんて馬鹿みたいな感情が溢れた。

『お待ちしておりました、忍足様ですね?』

宿に着けば小綺麗な旅館の小綺麗な女将が出迎えてくれた。


『あんな、跡部。ここ、個室に露天風呂ついとるんやって!海が見えんねん!』

こういう時はこの恋人はえらく元気だ。気に入ったものには目が無い。
風呂に入って気持ちも洗い流せ。そうだそれでいい。

『今更なんで恥ずかしがるかなぁお前は…』

『うるさい!恥ずかしいもんは恥ずかしいんや』

風呂に入ろうと言ったのは自分のくせに、いざ裸になれば恥ずかしいなんて。どこまで可愛いんだお前は。
少し熱めの湯に、向かい合って浸かる。でかい男が二人座ればさすがに狭かったようだ。
脚が絡まったりぶつかったり。そしてソレを見て二人で笑う。

『なぁ、今日一日跡部ずっと難しい顔しとった…なんか、やなことあったん?』

少し顔を寄せて聞いてくる恋人に、まず何を求めればよいか。
今の俺から何か与えるのは不可能。だから求めるまでなのだ。

『俺はまだまだガキだ…』

苦笑して、ようやく溜め息の一つも吐いて、意味を伝え得ない言葉を吐いて。
なのにどうしてお前がそんな顔をする?ふざけるな、辛いのは俺の方だ。

『跡部、ホンマにどないしてん?どっか痛い?苦しい?なぁ、せっかく二人で旅行やのに…なして泣くんよ…!』

『……ちょっと両親のこと思い出しただけだ』

妙なとこで鋭い恋人が、大きな水音をたてて、切れ長の目を潤ませて、俺を見つめて、頭の後ろに手をまわして引き寄せて。
そして強く強く、俺の顔を胸に抱いた。

『母さんはいつだって綺麗にしてて、けど俺はその綺麗さが好きじゃない。あの人は女だが、跡部の妻だが、あれは母親と思えない。父さんは…

『もうええ!もうやめたって…跡部かわいそやんか…俺もう聞きとうないよ…』

情けなく頼り、久しぶりに泣き、愛情を渇望する心に、ただ求むるそれを与えてくれる恋人に、いつか俺も返してやらねばならない。

『我儘言うてええし、なんだってしたるし……っん』

母さんのように、父さんのように、色の薄れることのないように、逃がさぬように、体と心に繋ぎとめろ。
深く深く、落ちる夕日が見つめるなか、恋人の口を塞いだ。

『はぁっ…ん、好きにしてええよ…ひどくしたって構わんから…あっ、あ…』

返事をやる余裕もなく、自身を握り、扱きあげ、先走りを指に絡めて中に埋める。
相手の喘ぎと、湯が跳ねる音と、二人分の荒い呼吸と、遠くに聞こえる波の音と…
ろくに慣らしもせずに、焦ったように自身を突き立てれば、身体の軋む音が。

『いっ!あ、け…ご…んぁ…や、だいじょうぶ…?』

痛みに、僅かばかりしかない快感に、俺への想いに、涙を溜める恋人に、痛みばかりを与え、愛情の与え方すら知らず、それを貰うばかりの情けない俺を、捨てないでほしいと、自信もプライドも投げ捨てて、ひたすらに祈った。

『頼む、から…努力するから…お前だけは、母さんや…父さんみたいには…』

『なんも頑張らんでええ!お前、…あ、ぁ…何もかも溜め込みすぎや…ん…大丈夫やから…ぁ…』

いつからだ、母さんがただの女になったのは、父さんがただの男になったのは。
仕事仕事仕事。仕方のないのは分かっている。
だが、俺はまだ子供なのだと信じたい。まだ、愛が欲しい。

『あっ…愛しとるよ…ん…景吾っ…ああっ!』

愛していると、その言葉に胸がいっぱいになり、欲望が膨張し、そして罅ぜた。
すっかり日が落ちた空に、月がぽつりと浮かぶ。
ロマンチックとは言えないが、少しは風情があるだろう。
夕日に見送られはじまった情交を月に見守られて終えた。
相手をぎゅっと抱き締め、せめて彼だけは一生色褪せないことを祈る。
愛していると、互いに何度も呟き、互いに唇を合わせ、呼吸すら忘れるほど愛し合い、
しかし二人でならばこの湯にこのまま溶けて流れていけるのが今の俺には一番幸せかもしれない。

君を一生感じていたくて、
繋がりを解かぬまま、
ぬるくなった湯の中で、
死んでしまえたら…
無駄に長いうえに変態えろ(笑)注意して閲覧してください。



『あぁ…あとべ先生っ…』

夜勤の時、看護婦を抱いている跡部先生を見た。
顔も腕もよい人気の産婦人科医。病院に缶詰状態の生活はさぞストレスが溜まるんだろう。
いつだったか、あの人は俺を抱いた。男の俺を。
看護婦を抱いている彼を見てしまった俺は、過去の行為を思い出してしまう。
使われていない診療室に入り込み所詮自慰というその行為に没頭した。

『んゃあっ…あ、あ…っ』

看護士の着る清潔な薄い青色をした制服の下だけを脱ぎ、ソレを尻に敷き、ぐしゃぐしゃに濡らし、必死になって手を動かした。
気紛れで抱かれて見つけだしてしまった憧れは、あの人には届かない。
だが貴男を想って自分を慰めることくらい許してくれ、迷惑じゃないだろう。

『やっ…あ、跡部先生っ』

名前を呼びながら達し、例によって虚しい気分と吐精後の脱力感に板挟みにされながらノロノロと立ち上がった。
暗かった部屋に明かりを、と思い、部屋の入り口のスイッチにむかった。

『いけない奴だなァ?お前は…ぁん?忍足…』

俺がスイッチに触れる前に明かりが灯った。
憧れの人に痴態を見られた羞恥からかそれともあるいは喜びなのかもしれない。
身体が再び熱を持ち、震えはじめた。

『せ…せんせ…』

下肢を晒したままで立ち尽くす。
その普段は冷たい眼が、俺の思い込みか、いや違う、確かに熱を持って俺を見る。

『淫乱な身体には治療が必要だろ…?』

先生が、薄い、ゴム手袋をはめながら近づいてきた。
動けないままの俺を、診察台の上に押し倒し、口を、塞いだ。

『んっ…ふ…うぅ…』

深い深い口付けは俺の力をどこまでも奪い、俺の身体はどこまでも熱に浮かされる。
またしても、気紛れで抱かれるのか。まぁ別に構わない。

『抜いてたんだろ?俺の名前呼びながら、俺に抱かれるのを望みながら…』

『あぁっ…ゃん…あっ…』

『ココをこんなにおっ勃たせて…』

『やっ…ごめん…なさ…』

尋問のように、拷問のように、ゴム手袋をした手が身体をいじくりまわす。
そのつっかかるような、肌が引っ張られるような感覚に、涙し歓喜し、声を上げる。

『いたっ…痛い…』

手袋をしたまま、指が秘部に少しだけ埋め込まれた。
滑らないゴム製のソレに入り口を無理矢理に擦られ、熱い、焼けるような痛みに声が漏れた。

『痛い…そいつはいけないな…よく診てやるよ』

『やぁっ!冷たっ…んっ』

秘部に、冷たく長いものが、恐らく何か診察に使うモノだ、それが奥へ奥へと入り込んできた。

『やっ…やめてくださ…イヤや…あ、やめ、て…』

『お前はうちの大事な看護士なんだ。ちゃんと治療しなきゃダメだろ?』

そう言うなり、先生が冷たい金属の棒で中を掻き回しはじめた。
この人は俺をいじめて楽しんでいる。それで少しでも貴男の心が晴れるなら、俺はそれでいい。

『どこが痛いんだ?ココかな、それともココか?』

『ひゃ…あ、痛くない…痛くなんか…ない…』

腰が跳ねるポイントを、ここぞとばかりに棒が刺激する。
やめてやめてと首を振り拒否を示すが、この人から与えられるなら、快感も、痛みも、全てを逃すまいとしている自分がいた。

『飲み薬をやろーな…』

先生が前を寛げ、俺の口元に自身を近付ける。
意図を察した俺は、憧れの人のソレを必死で善くしようと、舌を、唾液を絡ませた。

『そんなに欲しかったのか…?俺のが…』

『んっ…ぐ…ふぅ…』

貴男のモノをまた受け入れることを、こうして口淫することを、何度望んだか。
男に抱かれることを望むような変態に、この人は惹かれたりはしない。

『淫乱にはよく効く薬だ…しっかり飲み込めよ』

ビクンとひとつ、ソレが脈打って、口の中になんとも言えない苦い味が広がる。
これも貴男のモノだから、一滴残らず飲み干した。

『さて…治療の仕上げだ』

脚を割られ、俺の性器が、秘部が、先生の目の前に晒され、ヒクヒクと喜ぶ。
まだ欲しくない、まだ欲しくない。ココに受け入れたらそれで今夜のこの行為は終わってしまう。
気紛れでも、愛情が無くても、それでも貴男を独り占めできる時間を終わらせたくない。

『や、やめてくださぃ…、そんなの…入らへん…』

首を横に振り、この行為の最中にはじめて貴男の顔を見つめた。
やっぱり整った顔だ、女が惹かれる訳だ。

『一丁前に慣らせなんて言うのかよ?…ならこの際だ、淫乱な身体、隅々まで調べてやる…』

冷たく笑う貴男の顔はなんて綺麗なんだろう。
男の俺でも惹かれる訳だ。

『しかし…診察台を汚されちゃ困るな…あぁそうだ』

またきっと何かされるのはわかっている。
でもそれをするのが、貴男だというだけで嬉しくてたまらない。

『えっ!や、んっ…何?』

『診察台を汚さないように…これならいいだろ?』

先生は片方の手袋をとり、ちょうど親指が入る部分を広げて俺の性器の先端に被せた。
もともと指が入るだけの広さのそれは、先端を締め付け、妙な感覚で張りつき、しかし相手がこの人だというだけで快感に感じた。
俺もなかなかおかしくなってきたようだ。

『これで大丈夫だな…さァ調べようか』

まずはココから…そう言って先生は俺の上の制服を捲り上げ、ピンセットで胸の突起を摘んだ。

『んゃ…あ、いっ…ん』

摘んだり引っ張ったり潰したり。いちいち声が漏れるのが恥ずかしい。
よくあるAVのお医者サンごっこというのはこんな感じなのか、と考えてみた。

『いかんな…こんなに赤く腫れあがって…』

すっかり立ち上がった突起に、ゆっくりと舌が這う。
あまりの快感に、いつのまにか先生の頭を抱き締めていた。

『あぁっセンセ…もっと』

『言葉遣いがなってねぇ』

『やぁっ!あっあぁっ…』

一言喋り、先生が急に歯をたてたものだから思わず腰が跳ね脚がピンとのび妙に甘い声が出た。
この人は仕事では『いい先生』だがプライベートではやけに意地悪らしい。

『次に…ココだな…』

入り口にひんやりとした液体が塗りたくられ中に指が二本入り込んだ。

俺の指が。

『いっやぁ…こんなん…こんなん、イヤや…』

手を掴まれ無理矢理中を掻き回される。
指に触れる内肉が熱く蠢いているのを感じて顔が一気に赤くなる。

『自分の身体は自分が一番よく知ってるだろ?』

要するに先生は俺にさっきのように自慰をしてみろとい言いたいのだ。

『やっ…できへん…いゃ、も、堪忍して…』

生まれてこのかた感じたことのないくらいの羞恥と快感とを同時に感じる。
先生に導かれるままに自分の指が『イイトコロ』をとらえ、呆気なく俺は果てた。

『んっあ、とって…こ、これとってくださいっ…』

果てたのは確かだが、先端を締め付けている手袋の所為で精液が吐き出せない。
先端まで込み上げたソレを吐き出せない苦しさと快感に、無意識に腰を揺らしていた。
もっともっと、泣き叫ぶくらいにいじめてくれて構わない。
貴男になら何をされたって構わないと俺は自身をもって言うことができる。

『診察台を汚したら困るって何度も言ったろ?』

『で、でも…ぁ…んん…』

『でも、なんだ?言ってみろ、俺は患者には出来る限りのことをしてやるぜ?』

ぐいっと、垂れ下がる手袋を先生が引っ張った。
敏感な部分の濡れた皮膚が急に引っ張られたために、またすぐにビクリと腰が跳ね背中が仰け反った。

『とってください…あ、あ…だ、出したい…です…』

なんて恥ずかしい台詞。貴男にだから言えるのだと伝えたい。

『まだだ、最後に注射をしてから出させてやる…』

『注射…?っ!あぁっ!』

先生が俺の中に一気に入り込んだ。
貴男と繋がれたことを喜ぶべきか、行為が終わりに近づくのを悲しむべきか。
どちらにせよまともな思考は働いていない。

『相変わらずヤラシイ動きだな…お前の中は』

息を吐き、笑いながら先生が突き上げる。
清浄な、病院の一室。そんな場所で、なんて不浄な、不潔な行為を俺は。それもこの人を相手に。

『あぁっ…!ん、ひゃっ…せん、せ…あとべ先生っ、あ、も、イっちゃう…!』

必死で名前を呼んでも貴男はこれっぽっちも返してくれない。
しかし綺麗に笑ってくれるからまァいいか。
先生が大きく突き上げ、手袋を勢い良く取り去り、俺は本日三回目の射精を。



『可愛いな…お前は…』

処理を終え、新しい制服をご丁寧にも着せてくれ、先生は額にキスをくれた。
この人はどうしてこうも恥ずかしいことが平気で出来るのか。そこもまた魅力なのだが。

『すいません…俺、仕事中にあないなこと…』

思い返せば恥ずかしい。自慰行為を見られたのだ。
それも仕事をサボっての自慰行為を。
思わず涙目になり、血が昇った顔を俯かせただただ謝った。

『また、いつでも可愛がってやるよ…』

俯く顔に指をかけ、上をむかせる。極上の笑みで、そう言って、先生は仕事に戻っていった。

俺の恋が実る日は来ない。
せいぜいまた抱かれるのを望んで、また自慰でもしてみようか。
貴男を振り向かせるのは俺の心ではない。身体だ。
お前は綺麗で色気もあんのによ、いまひとつ、惹かれねぇのはなんでだろうな。 
本日晴天。胸クソ悪ぃ程に晴れ渡った空の下、おそらく真面目に授業受けてる奴等の頭の上。
屋上のコンクリートに押し倒した忍足へ、そんな問い掛けをした。

『それは俺が跡部にそういう風に見せとるからやろ。俺がアンタを惹きつけへんよぅにしとるんや』

にっこり笑ったコイツの顔には裏があるに違いない。違いないんだが底が見えねぇお陰で裏も見えねぇ。

『なぁ跡部さん、ほんならなんでアンタは…ボンボンなのにこない下品なんやろねぇ?品が無いんやない、けど下品』

シャツの釦を外していけば今度は忍足が問い掛けた。

下品…奴が言うにはやること言うことが下品らしい。
性格だと言ってしまえばそれまでだがそれじゃあいまいち答えにはならない。
だがしかしそんな質問を受けてみろ、恐らく答えられる奴はほとんどいない。

俺から奴へ何か問い掛ければ奴はそれに易々答え、逆に俺に問い掛けをする。
それはいつだって難題で結局まともに答えられない俺はその問いの答えを求めるべく再び忍足に問い掛けを。
そんな無駄な言葉のやりとりはつまらなくはねぇが酷い疲労を感じさせる。
そして己の己への理解度の低さを露呈してしまい、結局俺はいつも妙に心地のよい敗北感のなか行為を進めるのだ。

見つからない答えを無理に見つけようとはせず、俺は忍足のシャツの釦を外し終えた。

途端、顔をしかめることになる。

『おい…俺はここ最近こんなとこに跡つけた覚えはねぇぞ…』

無数に咲く見知らぬ痣に、それを自分の物に変えるよう唇を寄せる。
きつくきつく吸い上げろ。愛情無しの独占欲はそのくせどこまでも貪欲なのだ。

『跡部には関係ないやん。あっ…ん、そないしたらアカン…あん…』

色を含み始めた声に、増長する欲望に、歯止めをかけろそして犯せ少しずつ。

『なぁ跡部…?あ、俺の質問への…ん、あぁっ…答え…は…?』

喘ぎに混じり聞こえた二度目の問い掛けに、小さく舌打ちのみを返し早々に忍足の下肢へ手を伸ばした。

テニスでも、試験でも負けたことはない。
だが常に奴に対し感じる敗北感はいつだって俺を苦しませそして俺を高みへと押し上げる。

恐らくこの関係は一時。
しかしこの感覚は一生。

どこをどう間違って男なんかと行為を繰り返すのか、考えちまえば自分が惨めに思えてくる。
いやしかし考えずにはいられない。
そんな考え事しながら奴のペニスを刺激していたら、物足りないと、愚痴をこぼされた。
あぁ、悪かったなこの淫乱が。

『お前の質問はいつもいつも難し過ぎんだよ…もっと簡単な…質問は?』

たまには答えられる質問をよこしてもいいはずだ。
ケツの穴に指突っ込んで慣らしながら、話し掛ける。

『ん、や…ぁ?簡単な…しつもん…?ぁ、ん…そやなぁ…んー、あぁ…あるで』

こんな状態でも話はきちんと聞いてるし、きちんと返事をする。
なんだか自分が一方的に行為をしているような、まるで奴の自慰行為を手伝わされているような、虚しい気になるのだが。

『簡単な…質問や…跡部俺んこと、好き?』

今にも吹き出しそうな、今にも馬鹿笑いをはじめそうな、しかしそれを堪えたような顔をして。

『はっは…は、は…そうであってほしいとか…思うわけか?テメェは』

額を押さえ笑いを堪え、あぁ確かに簡単な質問だ。

『好きだぜ、お前のこと』

『俺も、だーい好きやで、跡部さん』

互いの甘い台詞を嘲笑い、行為の最中なのも忘れコンクリートを叩く。
笑いすぎたか息を切らせた涙目の忍足に、あぁそういえばまだ終わっていなかったな、欲望を突き立てる。

『あっん!!っはぁ…あ…とべ…あぁ…アンタやっぱり最高やで…あぁっ』

『ったりめぇだ…いいから黙れ…ぶち壊しじゃねぇかよ』

激しい律動を繰り返せば忍足の口からはついに喘ぎと唾液しか漏れなくなる。
互いに欲望を放てば、あまりの空の青さに、自分達の行為をすこしだけ、すこしだけ、恥じた。

俺達の間には、
黒い川が流れている。
『なぁ、なぁもう起きてや跡部ー。もう九時やで?』

日曜で部活もオフなんてここ最近無かった。
だから昨晩はうんと抱きあった。いつまでたっても起きない恋人を忍足が揺すり起こす。

『たまの休みだ…まだ寝させろ…』

体をピクリとも動かさずにはっきりしない口調で生返事。帝王様は朝弱い。
仕方ないといった顔をして、帝王様の恋人が、布団を捲る。

『起きてー跡部ぇー』

未だ動かない恋人に、甘えた声をかけ触れる程度の口付けを。

『っ…んぅ…』

離れようとしたところを、ばっと起き上がり、後ろから頭を押さえ不意打ちで深く口付けを返す。
そんな口付けを返された忍足が、ようやく起きたかと呆れ気味に離れようとすれば、跡部はコテっと肩に顔を乗せてきた。
そのまま再び寝息をたてる姿は普段から想像出来ぬ程に可愛らしくて。
思わず頬を緩めた忍足も、無理に体を離そうとせずまったり。

『こういう時は可愛いやんなぁ…』

ふんわりやわらかい、色素の薄い猫っ毛を、これまたふんわりやわらかい手つきで梳きながら、クスクスと笑う。
やめろとは言わないが、笑われたのが気に食わないのかなんなのか、いつものような不機嫌な瞳が見つめていた。

『笑ってんじゃねぇ…とりあえず飯…』

緩慢な動作で立ち上がり、ちょっと立った寝癖を押さえながらまだまだ眠そうに洗面所にむかう跡部にまた笑みが漏れた。
こんなに可愛い跡部を見れるのは俺くらいだ。
そんな可愛らしい優越感。

言われた通り、少し遅めの朝食を作らねば。
パタパタと台所にむかう姿はなんというか、いわゆる新妻のような…。
それが洗面所から戻ってきた跡部から見た忍足の感想だった。
あながち間違っていないかもしれない。

忍足の実家は純和風の家庭で、だから一人暮らしの忍足のつくる食事も必ずと言っていい程の割合で和食。
たまに跡部が洋食がいいと言わないかぎりはまず和食に間違いはない。
そんなわけで今朝も和食。
決して質素ではないし、かといって豪華でもないソレは薄味で跡部のお気に入りだった。
普段洋食の跡部が美味い美味いと言って忍足のつくる食事を食べるのは恐らく愛の力も手伝っているというところだろう。

『ごちそーさん』

朝食を取り終えた頃にはすっかり目が覚めていた跡部を見て、内心がっかりする忍足。
しかし腑抜けたままではイヤだといえばイヤだなぁと、くだらない事を、取り留めもなく考えながら洗い物を。

そんな洗い物をする忍足の背中を見つめ、跡部はある種感動を覚える。

『マジで新妻っぽい…』

にやり、幸せそうなこの弛んだ顔を、忍足は見たことがない。いや、跡部が見せないからなのだが。

『もうお前嫁にこい。一生幸せにしてやるよ』

我慢できないと、そう呟いて可愛い恋人を後ろから抱き締める。
ひゃあ、なんて、驚いて間抜けた声を出すそれさえ愛しくて。

『こ、こら。悪戯したらアカン!』

少しキツイ食器用の洗剤の匂いに鼻をつかれ、洗剤まみれの手をとり握る。

『綺麗な手が荒れんのはイヤだ…』

子供のように、我儘を言うように、拗ねたようなイントネーションで背に顔をつけ語りかける。
その素直な言葉が嬉しくて恥ずかしくてなんだかくすぐったくて、忍足は顔を染め幸せそうに笑う。

どちらからともなく始められた口付けは終わることを知らず、
そして二人は幸せが終わることを知らず、
たとえ全知全能の神様がいても、きっとこの気持ちは知らないのだ。
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年齢:
37
性別:
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誕生日:
1987/08/13
職業:
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趣味:
買い物・音楽鑑賞
自己紹介:
小説や日記、小ネタ等を投下していくヲタクなブログです。サイトの代わりに運営しているのでコメントやメッセージは大歓迎です。
リンクについては同人サイト様につきフリー。報告や連絡いただければそちらにも遊びにいきます♪
コメントするのが嫌だわ、というシャイなお嬢さんは(笑)
utagawa_hikaru☆hotmail.com
(☆を@に変えてくださいね)
こちらまでご連絡ください!

ジャンルはサイトをやっていた頃とほとんど変わりませんが…
テニス(忍受け、跡受けなど)
サガフロ(いろいろ)
もしかしたらアイシ(阿雲)
オリジ(気が向けば)
…こんな感じです。
同志様は是非仲良くしてください!

何かありましたらお気軽にご連絡を。
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